トップ > 公式ブログ > 認知症は何歳から始まる?40代・50代でも注意が必要?

認知症は何歳から始まる?40代・50代でも注意が必要?

認知症は何歳から始まる?40代・50代でも注意が必要?のイメージ画像

「認知症」と聞くと、多くの方は高齢者の病気というイメージを持つかもしれません。実際に認知症の発症には加齢が深く関係しており、年齢を重ねるほど発症率が高くなることが知られています。そのため「高齢になるほど身近になる病気」という認識自体は、決して間違いではありません。

では、認知症は何歳から意識すべきなのでしょうか。近年の研究から、認知症の代表的な原因疾患であるアルツハイマー病では、症状がはっきりとあらわれる10〜20年ほど前から、脳の中で病変が始まっている可能性が指摘されています。つまり、認知症として診断される時点では、脳内の変化がすでに進行しているケースが少なくないのです。

そのため、現在40代、50代であっても、認知症とまったく無関係というわけではありません。むしろ、この時期の生活習慣や健康状態の積み重ねが、将来の脳の健康に影響する可能性があります。

そこで今回は、40代、50代でも認知症への注意が必要とされる理由についてわかりやすく解説するとともに、将来の脳の健康を守るために今日からできる予防習慣についても紹介していきます。

認知症は何歳から始まる?

結論から言えば、認知症を発症する年齢に明確な基準はありません。しかし、前述の通り、認知症の発症率は加齢とともに上昇することが知られています。

一般的には、65〜70歳頃では認知症の有症率はまだ数%程度とされていますが、その後は年齢を重ねるごとに増加していき、90代ではおよそ半数近くに達するとされています。その背景には、認知症の特徴が「認知機能の低下」にあることが関係しています。

認知機能とは、記憶力、判断力、思考力、言語力など、脳が担う高度な知的機能の総称です。私たちが日常生活や社会生活を問題なく送れているのは、こうした認知機能が適切に働いているからです。

しかし、脳も身体や筋力と同様に、少しずつ老化していきます。脳の老化は脳の容積が減少する「萎縮」と呼ばれる形であらわれ、年齢を重ねるにつれて進行していきます。脳の萎縮が進行すると、記憶や判断、理解といった認知機能にも影響が及びやすくなります。そのため、高齢になるほど認知症の発症率も高くなっていくのです。

高齢者だけの病気ではない理由

認知症は、年齢を重ねるほど発症率が高くなることが知られており、高齢になるほど発症リスクが高まる病気であることは間違いありません。

しかし一方で、認知症は決して「高齢者だけの病気」と言い切ることはできません。というのも、認知症の発症には加齢だけでなく、生活習慣病、睡眠不足、ストレス、運動不足、社会的孤立など、さまざまな要因が複雑に関わっています。そして、こうした要因は数年から十数年という長い時間をかけて積み重なり、認知症の発症リスクに関与している可能性があります。

つまり、「認知症の症状があらわれる」のが高齢期であることが多いだけで、その背景となる変化そのものは、40代、50代といった中年期の段階からすでに始まっている可能性があるのです。そのため、何歳であっても認知症と無関係とは言い切れないのです。

若い世代でも起こるケース

また、認知症は何歳から起こるのかを考えるうえで「若年性認知症」の存在も無視できません。若年性認知症の特徴のひとつは、発症年齢の幅が非常に広いことです。40代、50代などの現役世代で発症するケースもあるため、「認知症=高齢者だけの病気」とは言い切れないことがわかります。

若年性認知症の大きな特徴は、働き盛りの現役世代に発症することによる影響の大きさです。仕事や子育て、住宅ローン、家族の生活など、社会的な責任が大きい時期に発症するため、本人の人生設計が大きく変化してしまうことがあります。また、周囲から「まだ若いのに認知症のはずがない」と理解されにくく、適切な支援につながりにくいケースも少なくありません。

その影響は本人だけでなく、家族や職場など周囲にも及びます。だからこそ、「若いから大丈夫」と過信せず、早い段階から脳と心身の健康に目を向けることが大切です。

認知症は何歳から始まる?40代・50代でも注意が必要?のイメージ画像
画像素材:PIXTA

年齢別にみる認知症リスク

ここでは、年代別に認知症リスクの特徴を見ていきましょう。

まず前提として理解しておきたいのは、認知症はある日突然起こる「事故」のようなものではない、ということです。認知症とは、認知機能の低下によって日常生活に支障を来たしている状態の総称です。

高齢になるほど認知症の発症率が高くなる背景には、加齢による脳の変化が大きく関わっています。しかし、それだけではありません。年齢を重ねることで、身体機能や生活環境、人間関係、働き方など、ライフステージそのものが大きく変化していくことも関わっているのです。

たとえば、中年期には仕事や家庭によるストレスや睡眠不足、生活習慣病のリスクが高まりやすくなります。高齢期になると、身体機能の低下、社会的孤立、活動量の減少、配偶者との死別など、心身に大きな影響を与える出来事や変化が増えていきます。こうした加齢以外の要因も複雑に重なることで、認知症リスクは年齢を重ねるにつれて徐々に高まっていくと考えられています。

40代で起こりうる変化

40代は、仕事や家庭において責任の大きな役割を担うことが増え、ライフステージが大きく変化しやすい時期です。

管理職としての業務負担が増える、子育てや親の介護など、複数の役割を同時に抱える人も少なくありません。そうした忙しさの中で、自分自身の生活が後回しになり、睡眠不足やストレス過多、過度な飲酒といった状態に陥りやすくなります。

また、40代は、若い頃からの生活習慣の積み重ねが表面化しやすい時期でもあり、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病のリスクも高まりやすくなります。生活習慣病は認知症リスクを高めるだけでなく、心疾患や脳卒中、がんなど、さまざまな病気のリスクにも関わっています。さらに、40代は更年期による心身の変化があらわれやすい年代でもあります。ホルモンバランスの変化によって、疲れやすさや睡眠の質の低下、気分の落ち込み、集中力の低下などを感じることもあります。

加えて、脳は20歳頃をピークに少しずつ萎縮していくことが知られており、40歳頃からはその変化が目立ちやすくなるとされています。つまり40代は、加齢による心身の変化を少しずつ実感しやすくなる時期とも言えるのです。

だからこそ、この年代では忙しい中でもいかに生活習慣を整え、心身を健康な状態に保てるかが、将来の認知症リスクや健康寿命を大きく左右します。40代は「認知症予防を何歳からはじめるべきか」を考えたとき、ひとつの重要なタイミングです。

50代で増えるリスク要因

50代になると、40代までに積み重なってきた生活習慣や身体への負担が、よりはっきりと表面化しやすくなります。

仕事では責任ある立場を担い続けている人も多く、家庭でも子どもの進学や独立、親の介護など、精神的・経済的な負担が重なりやすい時期です。そうした中で、慢性的なストレスや睡眠不足が続き、心身のコンディションを崩しやすくなります。

加齢による身体機能の変化も無視できません。筋力や基礎体力が低下しやすくなり、疲れやすさを感じる人も増えてきます。その結果、運動不足になりやすく、活動量の低下からさらに体力が落ちるという悪循環に陥るケースも少なくありません。加えて、50代は脳の老化も少しずつ実感しやすくなる年代です。以前より物忘れが増えた、集中力が続きにくい、段取りに時間がかかるといった変化を感じはじめる人もいるでしょう。

もちろん、こうした変化のすべてが認知症につながるわけではありません。しかし、脳や身体の疲れやすさが目立ちやすくなる時期であることは確かです。

だからこそ、50代では「まだ大丈夫」と無理を重ねるのではなく、自身の心身の状態を客観的に見直し、生活習慣を整えることが重要になります。

認知症は何歳から始まる?40代・50代でも注意が必要?のイメージ画像
画像素材:PIXTA

60代以降との違い

40代、50代と60代以降との大きな違いは、「認知機能低下につながる変化が、より表面化しやすくなること」です。

40代、50代では、認知症のリスクはまだ将来への蓄積という側面が強く、生活習慣の乱れやストレス、睡眠不足などによる影響は、心身の疲労や一時的な認知機能低下としてあらわれることが多く、改善が期待できるケースも少なくありません。一方で、60代以降になると、加齢による脳の萎縮や身体機能の低下がより進行しやすくなり、これまで積み重なってきた負担が、認知機能の低下という形で表面化しやすくなるのです。

また、退職による生活環境の変化も大きな特徴です。仕事を通じた人との交流や、日々の予定・役割が減ることで、活動量や社会的な刺激が低下しやすくなります。加えて、配偶者との死別や一人暮らしなどによって孤立感が強まりやすい年代でもあります。

こうした変化は、意欲や活動量の低下につながりやすく、結果として認知機能にも影響を及ぼす可能性があります。さらに、60代以降では、脳梗塞や心疾患、糖尿病など、認知症リスクを高める疾患の発症率も上昇します。つまり、40代、50代で積み重なってきた生活習慣や健康状態の影響が、より現実的な問題としてあらわれやすくなるのです。

なぜ40代、50代から予防が重要なのか

ここまで見てきたように、認知症は高齢者だけの問題ではなく、40代、50代のうちから無関係とは言えないものです。こうした背景から、認知症予防は、何歳からはじめても無意味ではありませんが、できれば40代、50代から意識することが理想です。

その大きな理由のひとつが、現在の医療では認知症を発症した後に完全に治すことが難しいとされている点にあります。そのため、認知症対策で重要なのは「発症してから治療すること」だけでなく、発症を遅らせたり、進行を緩やかにしたりするための予防的な取り組みです。

実際に、厚生労働省は認知症に対する重要な方針として、「早期発見・早期対応」を重視しています。これは認知機能の変化をできるだけ早い段階で見つけ、適切な対策につなげることで、その後の発症や進行リスクを抑えていこうという考え方です。

そして、この「早期発見・早期対応」と同じくらい重要なのが、早い段階から予防に取り組むことです。

近年の研究では、認知症の発症には、長年の生活習慣や健康状態の積み重ねが大きく関係していることがわかってきています。

つまり、65歳以降に認知症として表面化する変化の多くは、実際にはもっと前の年代から少しずつ進行している可能性があるのです。だからこそ、40代、50代のうちから生活習慣を見直し、脳と身体の健康を守る取り組みをはじめることが、将来の認知症リスクを抑えることに直結していきます。

生活習慣が脳に与える影響

近年、認知症は単なる「加齢による変化」ではなく、日々の生活習慣と深く関わる病気として捉えられるようになっています。実際に、WHOも生活習慣の改善によって認知機能低下や認知症のリスクを下げられる可能性を示しており、脳の健康と生活習慣との関連性が重視されています。

特に、日本の認知症の多くを占める、アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症といった「4大認知症」などは、加齢だけでなく、長年の生活習慣や健康状態の影響を強く受けることが分かっています。

代表的なリスク要因として、難聴、歯周病、高血圧、糖尿病、脂質異常症などが挙げられます。これらは一見すると脳とは関係が薄いようにも思えますが、実際には脳の血流や炎症、神経機能などに影響を及ぼし、認知機能低下のリスクを高めることが知られています。

一方で、こうした疾患の多くは、生活習慣を見直すことで予防や進行抑制が期待できます。つまり、日々の食事や睡眠、運動習慣、口腔ケア、定期的な健康管理といった基本的な健康づくりが、そのまま認知症予防にもつながるのです。

認知症は、ある日突然発症するものではありません。長年の生活の積み重ねが、将来の脳の健康を大きく左右します。だからこそ、できるだけ早い段階から、自分の生活習慣を整えていくことが大切なのです。

認知症は何歳から始まる?40代・50代でも注意が必要?のイメージ画像
画像素材:PIXTA

中年期の行動が将来を左右する理由

認知症予防のための取り組みは、できるだけ早い段階からはじめるほど、将来的なリスクの抑制につながると考えられています。

もちろん、20代や30代のうちから認知症を意識して生活している人は多くないでしょう。それ自体は自然なことです。しかし、40代、50代といった中年期になると、体力や回復力の変化、生活習慣病の兆候、睡眠の質の低下など、自身の健康状態に意識が向きやすくなります。

だからこそこの時期に生活習慣を見直し、適切な対策をはじめることが、将来の認知症リスクを大きく左右します。認知症予防とは特別な治療や一時的な対策ではありません。本質的には「脳と心身の健康を、できるだけ長く良好な状態で維持すること」、つまり長期的な健康づくりそのものです。

そのためには、まず現在の自分の状態を知ることが重要です。睡眠は足りているか、食生活は乱れていないか、ストレスを抱え込みすぎていないか、運動不足になっていないか、そうした日常を振り返ることが、予防の第一歩になります。

そして、自分の生活スタイルに合わせて、無理なく続けられる形に落とし込むことも大切です。中年期は、若い頃と比べて「このままではまずいかもしれない」という身体の変化を実感しやすくなる一方で、生活習慣を客観的に見直しやすくなる年代です。この時期の行動や習慣の積み重ねが、10年後、20年後の脳と身体の健康にも大きく影響していきます。

早期対策のメリット

認知症予防や健康づくりは、早い段階からはじめるほど習慣化しやすいという大きなメリットがあります。

生活習慣を変えるというのは、思っている以上に時間がかかるものです。特に、睡眠や食事、運動といった基本的な健康づくりは、派手な変化が見えにくく、地道に積み重ねていく必要があります。そのため、「必要になった時だけ頑張る」という形では、なかなか長続きしません。

そうした意味でも、早めに取り組みはじめることには大きな意味があります。時間に追われたり、体調を大きく崩してから慌てて生活を変えようとすると、心身への負担も大きくなりやすく、継続すること自体が難しくなってしまいます。一方で、比較的余裕のある段階から少しずつ取り組んでいけば、焦らず自分のペースで生活習慣を整えていくことができます。

また、健康な状態を維持することは、単に病気を防ぐだけではありません。体力や集中力、気力に余裕が生まれ、生活そのものにゆとりを持ちやすくなるという側面もあります。しかし、年齢を重ねて体力が低下したり、忙しさが増したりすると、そうした余裕を確保すること自体が難しくなっていきます。こうした理由からも、時間や体力にまだ余力のある中年期のうちから無理のない範囲で少しずつ健康づくりに取り組んでいくことには、大きな価値があります。

認知症予防も健康づくりも、一度に大きく変える必要はありません。小さな積み重ねを長く続けることこそが、将来の自分を支える大切な土台になっていくのです。

認知症は何歳から始まる?40代・50代でも注意が必要?のイメージ画像
画像素材:PIXTA

今日からできる認知症予防の取り組み

ではここからは、今日からはじめられる具体的な認知症予防の取り組みについて見ていきましょう。認知症予防で大切なのは、特別なことをすることではありません。基本となるのは、次の三つです。

  • 生活習慣を整えること
  • 脳に良い刺激や習慣を取り入れること
  • 定期的に自分の状態を確認すること

一見すると驚くほど地味に感じるかもしれません。しかし、認知症予防に限らず健康づくりの基本は「今ある健康を損なわず、できるだけ長く維持すること」にあります。そのためには、心身を適切にメンテナンスし、その状態を定期的に確認しながら、無理なく整えていくことが重要なのです。

たとえば、睡眠をしっかり取ること、栄養バランスを意識すること、適度に身体を動かすこと、人とのつながりを保つこと、こうした基本的な習慣の積み重ねが、将来の脳の健康を支える土台になります。

また、定期的に自分の状態を振り返ることも大切です。疲れが続いていないか、物忘れが増えていないか、意欲の低下を感じていないかなど、小さな変化に気づけることが早期対応にもつながります。

健康は、一度大きく崩してから取り戻すよりも、日々少しずつ守り続けるほうが、はるかに負担が少なく現実的です。だからこそ、無理なく続けられる範囲で、今日から少しずつ取り組みをはじめていきましょう。

基本の生活改善(食事・睡眠・運動)

認知症予防や健康づくりの土台となるのが、「食事」「睡眠」「運動」の3つです。

実際、脳に良いとされる習慣やトレーニングもありますが、それらはあくまでプラスアルファの要素に留まります。まずは心身の健康を支える基本的な生活習慣を整えることから優先していきましょう。

食事

食事は、単に空腹を満たしたり、エネルギーを補給したりするだけのものではありません。私たちの身体や脳は、日々摂取した栄養素によって作られています。特にビタミンや必須アミノ酸といった、体内で十分に作れない栄養素は食事から摂取する必要があります。そのため、偏った食生活が続くと、脳や身体の働きにも影響が及びやすくなります。

食生活を改善するうえで最も大切なのは、特定の食品を大量に摂ることではなく「栄養バランスを整えること」です。まずは、自分の食生活を振り返ってみましょう。外食や加工食品が多くなっていないか、野菜やたんぱく質が不足していないかなどを確認することが第一歩です。

最近では、食事内容を記録して栄養バランスを可視化できるアプリも増えています。そうしたツールを活用しながら、自分に不足しやすい栄養素や、過剰になっている食習慣を把握し、少しずつ改善していきましょう。

睡眠

睡眠は、脳にとって非常に重要なメンテナンス時間です。

近年の研究では、私たちの脳は睡眠中に、日中の活動で蓄積した老廃物を排出していることが報告されています。こうした老廃物の蓄積は、アルツハイマー病との関連も指摘されており、慢性的な睡眠不足は認知症リスクを高める要因のひとつと考えられています。

睡眠で大切なのは、「質」と「時間」の両方です。十分な睡眠時間が確保されてはじめて、脳や身体はしっかり回復でき、質を保つことが可能になります。

特に現代は、仕事やスマートフォン、動画視聴などによって、ついつい睡眠時間を削ってしまいやすい環境です。しかし、睡眠は後回しにするほど、集中力や判断力、感情の安定などにも悪影響を及ぼします。まずは自分に必要な睡眠時間を確保することを意識し、できるだけ毎日その時間を確保できるように生活を整えていきましょう。

認知症は何歳から始まる?40代・50代でも注意が必要?のイメージ画像
画像素材:PIXTA

運動

そして、ぜひ取り入れてほしいのが運動習慣です。

人間の身体は、本来「動くこと」を前提に作られています。そのため、活動量が減ると筋力や体力だけでなく、脳の働きにも影響が及びやすくなります。実際に、運動習慣を持つことは、認知機能の維持や認知症リスクの低減にもつながる可能性があるとされています。

また、運動は「フレイル」の予防にもつながります。フレイルとは、加齢によって心身が虚弱化した状態を指し、放置すると要介護や認知症など、さまざまな健康問題につながりやすくなります。

なお、健康づくりのための運動は、必ずしも激しいものである必要はありません。ウォーキングや散歩、ラジオ体操、軽いストレッチなど、無理なく続けられる運動でも十分に効果が期待できます。最も重要なのは、「継続すること」です。

最初から頑張りすぎる必要はありません。自分にとって負担が少なく、「これなら続けられそう」と思える運動を、生活の中に少しずつ取り入れていきましょう。

脳に良い刺激や習慣を取り入れる

脳には、よく使う機能ほど維持されやすく、使わない機能ほど衰えやすいという特徴があります。

もちろん、年齢とともにある程度の変化は避けられません。しかし、刺激の少ない状態が長く続くと、脳の働きは徐々に低下しやすくなります。そして、脳はそれぞれの機能が連携して働いているため、一部の機能低下が結果として脳全体の働きにも影響を及ぼす可能性があります。だからこそ、認知機能を維持するためには、できるだけ幅広く脳を使うことが大切です。

そのための方法としておすすめなのが、「脳に良い刺激」や「新しい習慣」を生活に取り入れることです。では、脳にとって良い刺激とは、どのようなものなのでしょうか。

特別に難しいことをする必要はありません。基本的には、「楽しい」「面白い」「もっと知りたい」と感じられることに触れることです。たとえば、読書や映画鑑賞、音楽、旅行、料理、手芸、ゲーム、観劇など、自分が興味を持てる活動は、脳にとって良い刺激になります。特に、新しい体験や初めての挑戦は、脳を活性化させやすいとされています。

さらに、人とのつながりを維持することも大切です。心地よい人間関係や会話は、脳にとって良い刺激になるだけでなく、孤立の予防にもつながります。実際に、社会的孤立や孤独感は認知症リスクを高める要因のひとつとされています。

無理に交友関係を広げる必要はありませんが、家族や友人、地域とのつながりなど、自分が安心できるコミュニケーションを持ち続けることは、脳と心の健康を守るうえで大きな意味があります。自分が楽しめることや、心地よいと感じられる刺激を日常の中に持ち続けることが、結果として認知機能の維持につながっていくのです。

『認知症と向き合う365』を活用したセルフモニタリング

ここまで紹介してきたような生活習慣の改善に加えて、ぜひ取り入れてほしいのが「自分の状態を定期的に確認する習慣」です。

これは認知症に限った話ではありません。多くの病気や不調は、早い段階で変化に気づき、適切に対応することで、重症化を防ぎやすくなることが知られています。つまり「自分の変化に気づけること」、そして「気づける環境を整えておくこと」が非常に重要なのです。

しかし、認知機能の変化は自覚しづらく、疲労やストレス、加齢による一時的な変化との区別も難しいため、「気のせいかもしれない」「病院へ行くほどではないかも」と判断に迷いやすいのが実際のところです。

そこで役立つのが、セルフチェックのためのツールやサービスです。客観的に状態を確認できる仕組みがあることで、不安を抱え込まずにすみ、変化にも気づきやすくなります。

その一つとしておすすめなのが、『認知症と向き合う365』です。

このサービスでは、定期的な認知機能セルフチェックに加え、MRI撮影とAI解析を組み合わせた「BrainSuite®」を利用することができ、脳の状態を幅広く確認できます。定期的に自分の状態を確認することで、必要に応じて相談や受診につなげやすい点が特徴です。また、専門スタッフへ相談できる体制があるため、「気になることがあるけど、どう判断すればよいかわからない」といった不安を感じたときにも、心強い存在となります。

特に、こうしたセルフモニタリングは早い段階からはじめるほど、過去との比較データが蓄積されるため、小さな変化にも気づきやすくなります。「異変が起きてから慌てること」ではなく、普段から自分の状態を把握し、必要に応じて早めに対応できる環境を整えておくことが、認知症予防において重要です。

認知症は何歳から始まる?40代・50代でも注意が必要?のイメージ画像
画像素材:PIXTA

まとめ

今回は、認知症は何歳から始まるのか、何歳から注意すべきなのかについて、年代ごとのリスクを見てきました。

認知症予防で大切なのは、「特別なことを短期間だけ頑張ること」ではありません。食事・睡眠・運動といった基本的な生活習慣を整え、無理なく続けられる健康習慣を、長い時間をかけて積み重ねていくことです。

認知症予防は、将来の健康を守るための取り組みとも言えます。だからこそ「まだ大丈夫」と思える今のうちから、少しずつでも取り組みをはじめることが大切です。日々の小さな積み重ねは、将来の脳や心身の健康を守るだけでなく、家族や周囲の人たちの生活を守ることにもつながっていきます。

また、今回見てきたように、認知症は高齢者だけの問題ではありません。発症率は年齢とともに高まるものの、若い世代でも無関係とは言い切れず、中年期からの生活習慣や健康状態の積み重ねが、将来のリスクに大きく影響します。

一方で、何歳からであっても、自分の健康を見直し、より良い方向へ改善しようとすることには、大きな価値があります。そして、そうした取り組みは、継続することでより大きな意味を持つようになります。最初から完璧を目指す必要はありません。できることを、できる範囲から少しずつ積み重ねていきましょう。その積み重ねが、将来の脳と心身の健康を支える土台づくりにつながります。


【参考文献(ウェブサイト)】

【参考文献(書籍)】

  • 秋下雅弘(2023). 目で見てわかる認知症の予防. 成美堂出版.
  • 朝田隆(2014). まだ間に合う!今すぐ始める認知症予防. 講談社.
  • 朝田隆(2025). 軽度認知障害(MCI)がわかる本. 講談社.
  • 朝田隆(2023). 認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること. アスコム.
  • 旭俊臣(2022). 増補改訂版 早期発見+早期ケアで怖くない隠れ認知症. 幻冬舎.
  • 浦上克哉(2021). 科学的に正しい認知症予防講義. 翔泳社.
  • 北原逸美/ながさき一生(2025). 認知症の教科書 増補改訂版. ニュートン.
  • 櫻井武(2017). 睡眠の科学・改訂新版. 講談社.
  • 高島明彦/村上もとか(2022). JIN-仁-と学ぶ認知症「超」早期発見と予防法. 集英社クリエイティブ.
  • 長尾和宏(2023). コロナと認知症. ブックマン社.
  • 森勇馬(2023). 認知症は予防が9割. マガジンハウス.
  • 柳沢正史(2024). 今さら聞けない 睡眠の超基本. 朝日新聞出版.
  • 山田悠史(2022). 最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM. 講談社.
  • 山田悠史(2025). 認知症になる人 ならない人. 講談社.

この記事の監修者

佐藤俊彦 医師

佐藤俊彦 医師

福島県立医科大学卒業。日本医科大学付属第一病院、獨協医科大学病院、鷲谷病院での勤務を経て、1997年に「宇都宮セントラルクリニック」を開院。
最新の医療機器やAIをいち早く取り入れ、「画像診断」によるがんの超早期発見に注力、2003年には、栃木県内初のPET装置を導入し、県内初の会員制のメディカル倶楽部を創設。
新たに 2023年春には東京世田谷でも同様の画像診断センター「セントラルクリニック世田谷」を開院。
著書に『ステージ4でもあきらめない 代謝と栄養でがんに挑む』(幻冬舎)『一生病気にならない 免疫力のスイッチ』(PHP研究所)など多数。