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認知症の初期症状とは?初期にあらわれるサインと見分け方について解説

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高齢化が進む現代では、認知症の有症率も増加傾向にあります。これは日本に限った話ではなく、高齢者人口の増加が見られる世界各国で共通して起きている現象です。

その背景に「加齢」が認知症の発症に深く関わっていることが挙げられます。年齢を重ねるほど発症リスクが高まるため、認知症が誰にとっても身近な問題になりつつあるのです。一方で、現時点では認知症の完治は困難とされています。そのため、認知症になることは、本人の生活に大きな影響が出るだけでなく、家族や周囲の人々にも大きな負担となります。

こうした状況の中で、現在特に重要とされているのが「早期発見・早期対応」です。認知症の初期症状に気づき、適切な治療やケアにつなげることで、発症リスクの抑制や、進行を遅らせられる可能性が高まります。

そこで今回は、認知症の初期症状にどのようなサインがあるのかを解説し、あわせて加齢による自然な物忘れとの違いや、初期症状に気づいた際に取るべき対応についても紹介します。

認知症の初期症状とは?まず知っておきたい基礎知識

認知症とは何か

認知症の初期症状を理解するうえで、まずは「認知症とは何か」を正しく知ることが重要です。

「認知症」とは、実は特定の疾患を指す言葉ではありません。「脳や身体に起こるさまざまな病気やトラブルによって認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたしている状態」の総称です。

例えば、アルツハイマー病は認知症の原因となる疾患の中でも広く知られていますが、アルツハイマー病=認知症というわけではありません。アルツハイマー病によって認知機能が低下し、日常生活に影響が出る段階に至った場合に「アルツハイマー型認知症」と診断されるようになるのです。

また、認知症はさまざまな疾患が関係する複合的な概念です。近年の研究では、認知症の原因となる疾患は100種類以上にのぼるとされており、発症の背景には非常に幅広い要因が関わっていることがわかっています。

早期発見が重要な理由

認知症は、その原因や種類によっては回復が見込めるケースも存在します。例えば、甲状腺機能低下症やホルモン異常などが背景にある場合、適切な治療によって認知機能の改善が期待できることがあります。しかし、こうした例は全体から見ると限定的です。

実際には、認知症の原因とされる疾患の多くが、現時点では完全に元の状態まで回復させることが難しいとされています。そのため、早い段階で異変に気づき、適切な治療や生活改善につなげることが重要です。その第一歩が早期発見です。

さらに、日本国内の認知症患者の多くが、いわゆる四大認知症と呼ばれる、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症に分類されます。これらはいずれも脳の変性や血管障害など、脳そのものの病変が関与して発症するのが特徴です。それにより、一度生じた脳の病変を完全に元に戻すことは容易ではありませんが、初期段階で異変に気づき、適切な医療や生活改善につなげることで、進行を遅らせたり、生活への影響を抑えたりすることが期待できます。

特に注目されているのが、認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)です。この段階で早期発見と適切な対応がおこなわれた場合、一定の割合で健常な状態へ回復する可能性があることがわかっています。決定的な治療法や特効薬が確立されていない認知症において、「早期発見・早期対応」は極めて重要な鍵となるのです。

なぜ初期症状に気づきにくいのか

認知症は早期発見が重要とされている一方で、実際には初期に異変に気づくことは難しいといわれています。結果として、医療機関を受診したときにはすでにある程度進行しているケースはそう珍しくありません。

こうした背景のひとつが、「老化との見分けにくさ」があります。認知症は65歳頃から有症率が高まりますが、加齢による物忘れや日常生活のちょっとした不便さは自然な変化でもあります。そのため、それが単なる老化によるものか、認知機能の低下によるものかを判断するのは簡単ではありません。結果として、本人や周囲も「年齢のせい」と受け止め、見過ごしてしまうことが多くなるのです。

また、「認知機能の揺らぎ」も見逃されやすさの一因となっています。疲労やストレス、環境の変化などによって、「最近忘れっぽい」「覚えが悪くなった気がする」と感じた経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。認知機能はこうした一時的な不調でも低下しやすく、その頻度は加齢とともに増える傾向があります。こうした状況では、本人や家族が「いつもと違う」と感じていたとしても、それを直ちに認知症による変化だと判断するのはなかなか難しいものです。そのため、初期症状の発見が遅れやすくなってしまうのです。

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認知症の初期症状|初期にあらわれる主なサイン

ここからは、認知症の初期症状としてあらわれやすい具体的なサインについて見ていきましょう。

初期症状に共通して見られるポイントの一つが「これまでとは違う状態が続く」という点です。単発的な物忘れや集中力の低下自体は珍しいものではなく、疲労やストレス、環境の変化などによって一時的に認知機能が低下して引き起こることもあります。十分な休養や生活リズムの改善によって元の状態に戻るのであれば、過度に心配する必要はありません。

一方で、こうした認知機能の低下が一定期間以上続いている場合には注意が必要です。この状態が長引くことで、そのまま認知症へと進行していくケースもあります。また、認知機能の低下が継続しているということは、脳や身体に何らかの不調やトラブルが潜んでいるサインかもしれません。

だからこそ、「いつもと違う」が続いていると感じたときには軽視せず、早めに対処することが大切です。

物忘れ

認知症の初期症状として、代表的なものが「物忘れ」です。ただし一口に物忘れといっても、その内容や程度には大きな幅があります。

例えば、「昨日の外食で食べた小鉢の内容が思い出せない」「見たことのある映画のタイトルが出てこない」といったように、できごとの一部だけを思い出せない物忘れは、誰にでも起こり得るものです。こうした場合でも、あとから調べたり人に聞いたりして「ああ、それだった」と思い出せるのであれば、過度に心配する必要はありません。自分で「忘れていた」と認識できており、情報を補うことで記憶を取り戻せている状態です。

一方で注意が必要なのは、「自分が物忘れをしている」という自覚が乏しいケースです。実は、自分の記憶の抜けや誤りに気づく力そのものも、高度な認知機能のひとつとされています。そのため、認知機能が低下し始めると、この「気づく力」は、弱まりやすくなります。

こうした理由から、本人は物忘れをしている自覚がないまま、同じことを何度も繰り返し聞いてしまったり、記憶の抜けが増えていったりすることがあります。こうした変化は本人では気づきにくいため、周囲の指摘が重要な手がかりになります。

もし家族や身近な人から「最近、同じことを何度も聞いていない?」といった指摘を受けたにもかかわらず、自分では心当たりがない場合には、注意が必要です。単なる物忘れとの違いを見極めるためにも、一度状況を振り返ってみることが大切です。

言葉が出にくくなる

また、うまく言葉が出てこなくなるといった変化が見られることがあります。

例えば、徹夜明けや慢性的な疲労を感じているときに、「言いたいことはあるのに適切な言葉が出てこない」「あれ、何と言えばよかったんだっけ」といった経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

私たちは普段、自分の考えや感情に対して、それにふさわしい言葉を「判断」し、「選択」することで会話を成り立たせています。こうした一連のプロセスも、認知機能によって支えられています。そのため、疲労やストレスなどによって一時的に認知機能が低下すると、言葉が出にくくなったり、うまく表現できなくなったりするのは自然な反応といえます。

しかし、このような「言葉が出にくい状態」が長く続いたり、頻繁に起こるようになった場合には注意が必要です。一時的な不調ではなく、認知機能そのものが低下しつつある可能性が考えられます。

特に、仕事の忙しさや精神的な負担など、明確な原因が思い当たらないにもかかわらず、こうした状態が続いている場合には、より慎重に様子を見る必要があります。日常のちょっとした違和感を見逃さないことが、早期発見につながる大切なポイントです。

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意欲の低下

実は、認知機能が低下し始めたとき、比較的早い段階で変化があらわれやすいのが「意欲」だといわれています。

本来、仕事や家庭などの日常生活が安定しており、心身ともに良好な状態であれば、自然と前向きな気持ちが生まれ、物事に取り組む意欲も湧いてくるものです。一方で、強いストレスを抱えていたり、疲労が蓄積していたりする場合に、気持ちが沈みがちになり、やる気が出ないと感じることもまた、誰にでも起こりうる自然な反応です。

こうした点を踏まえると、「意欲」は心身のコンディションを映し出す一つの指標ともいえます。裏を返せば、意欲の低下が続く場合、脳を含めた心身全体の調子が落ちているサインである可能性があります。

特に注意したいのは、その状態が一時的なものではなく、長期間にわたって続いている場合です。単なる疲れやストレスによるものであれば、休養や環境の変化によって回復していくことが一般的ですが、改善が見られない場合には、認知機能の低下が背景にあることも考えられます。

日々の生活の中で「なんとなくやる気が出ない状態が続いている」と感じたときには、その変化を軽視せず、心身の状態を見直すきっかけとすることが大切です。

要注意な症状チェック|受診を検討すべきサイン

危険度の高いサインとは

ここからは、これまでご紹介してきた認知症の初期症状の中でも、特に医療機関の受診を検討したほうがよい「危険度の高いサイン」について整理していきます。

前提として、これまで挙げてきた症状はいずれも見過ごせない重要な変化ですが、すぐに受診が必要とは限りません。例えば、疲労やストレスが原因で一時的に起こっており、その後しっかりと回復しているのであれば、過度に心配する必要はないでしょう。

しかし重要なのは、「その状態がどのくらい続いているか」という点です。物忘れや言葉の出にくさ、意欲の低下といった変化が一定期間以上続いている場合や、時間の経過とともに改善するどころか、むしろ気になる場面が増えている場合には注意が必要です。

こうした状態は、単なる一時的な不調ではなく、認知機能の低下が背景にある可能性を示すサインかもしれません。もし「以前と比べて明らかに変化が続いている」と感じる場合には、自己判断で様子を見続けるのではなく、早めに専門の医療機関へ相談することを検討しましょう。

外出や人付き合いを避ける

認知症の初期症状として見られる変化の一つに、「外出や人付き合いを避けるようになる」という傾向があります。

もともと社交的ではない方や、いわゆる出不精な方であっても、日常生活の中では買い物や通院、趣味や習い事、あるいは旧友との交流など、何らかの形で社会との接点を持っていることが一般的です。

しかし、これまで無理なく続けていた習慣や人間関係に対して、「面倒に感じる」「気が進まない」といった気持ちが強くなり、次第に足が遠のいていく場合には注意が必要です。例えば、ちょっとした買い物さえ億劫に感じる、定期的に参加していた集まりを避けるようになるといった変化は、心身の状態が以前とは異なってきているサインと考えられます。

また、周囲からの指摘が増えているにもかかわらず本人に自覚がない場合、不安や戸惑いから人との関わりを避け、結果として孤立を深めてしまうケースもあります。こうした傾向は、認知症の初期段階で見られることが少なくありません。

もちろん、体調不良や一時的なストレスによって外出を控えたくなることは誰にでもあります。ただし、明確な理由が見当たらないにもかかわらず、本人の意思として避ける行動が増えている場合には、変化の背景を丁寧に見極めることが大切です。

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家事や仕事のミスが増える

注意が必要な変化の一つに、「家事や仕事でのミスが増える」ことが挙げられます。

日々の家事や仕事といった生活の基盤となる行動は、繰り返しおこなうことで身についており、比較的衰えにくいものです。これは「頻繁に使われる機能ほど維持されやすく、使われない機能ほど低下しやすい」という脳の性質が影響しています。

そのため、これまで問題なくこなせていた作業で「らしくないミス」が増えてきた場合や、周囲からそうした指摘を受ける機会が増えた場合には注意が必要です。単なるうっかりではなく、認知機能の低下や心身のコンディションの変化が背景にある可能性も考えられます。

とくに、「できて当たり前だったことができなくなってきた」と感じる場面は、見過ごしてはいけない重要なサインです。日常の小さな変化に目を向けることが、早期の気づきにつながります。

初期症状に気づいたらどうする?正しい対応方法

まず取るべき行動

「もしかして認知症かもしれない」と感じたときは、できるだけ早めに専門の医療機関を受診することが大切です。

「この程度で受診していいのだろうか」と迷う方も少なくありませんが、仮に異常がなかったとしても、安心につながるという点で十分に意義があります。むしろ、気になる症状をそのままにして過ごすことで不安を抱え続けることになり、結果として心身への負担が大きくなる可能性があります。

また、受診をきっかけに自身の生活習慣を見直したり、認知症のリスクについて正しく理解したりすることは、将来的な予防にもつながります。日々の過ごし方を整えることは、認知機能の維持にも良い影響をもたらします。

こうした理由から、「少し気になる」「いつもと違う気がする」といった段階でも、遠慮せず専門機関に相談することが望ましいでしょう。不安を抱え込まず、早めに行動することが、安心と健康の両方を守る第一歩となります。

相談できる窓口

「どこに相談すればよいのかわからない」と迷う方も多いでしょう。そんなときに頼りになるのが、地域に設けられている相談窓口やコミュニティの存在です。

まず挙げられるのが、自治体が設置している「地域包括支援センター」です。ここは高齢者やその家族を支援する総合的な相談窓口で、社会福祉士や保健師、ケアマネジャーなどの専門職が在籍しています。受診先となる医療機関の紹介や、利用できる介護・福祉サービスについてのアドバイスを受けることができるため、初めての相談先として利用しやすい窓口です。

もう一つの選択肢が、認知症カフェ(オレンジカフェ)です。こちらは認知症の当事者やその家族、支援者などが集い、気軽に交流できる場として各地で運営されています。同じ立場の人同士で話をすることで、不安や悩みを共有できるだけでなく、実体験に基づいた情報を得られることも大きな特徴です。

これらの窓口はいずれも、「まだはっきり診断されていない段階」でも利用することが可能です。少しでも気になることがあれば、まずはお住まいの地域にどのような施設があるのか調べてみるとよいでしょう。

認知症が誰にとっても身近な課題となりつつある一方で、社会的な理解が十分に進んでいるとは言い切れず、誤解も少なくありません。だからこそ、専門知識を持つスタッフや、同じ経験を持つ人たちと話をすることには大きな意義があります。不安を一人で抱え込まず、早い段階でつながりを持つことが大切です。

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早期発見のメリット|進行を遅らせるために

これまでにも触れてきたように、認知症は現時点では完治が難しいとされている病気です。そのため、進行を遅らせたり、その後の生活に備えたりするための早期発見・早期対応が重要とされています。

ただし、早期に発見したからといって、必ずしも認知症の発症を完全に防げるわけではありません。繰り返しになりますが、認知症の発症には加齢が大きく関わっており、年齢を重ねるにつれて認知機能が低下していくこと自体は自然な変化です。その結果、日常生活に支障をきたすレベルに至る可能性も、ある程度は避けられない側面があります。

しかし、だからといって早期発見に意味がないわけではありません。むしろ、認知症を「防ぐ」という観点にとどまらず、その後の生活の質を保つためにも、早い段階で気づくことには大きな価値があります。早期発見がもたらす具体的なメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。

治療・対策の選択肢が広がる

認知症を早期に発見することは、治療や対策の「選択肢」を広げるうえでも大きな意味を持ちます。

認知症の治療や進行を抑えるための取り組みには、医療的なアプローチだけでなく、生活習慣の見直しや環境の調整など、さまざまな要素が関わってきます。しかし、いざ対応を始めようとしたときに意外と不足しがちなのが「準備のための時間」です。

その点、早期発見ができていれば、比較的余裕をもって今後の方針を検討することが可能になります。どのような治療を受けたいのか、どのような生活を維持したいのか、家族としてどのように支えていきたいのか——こうした大切なことを整理し、納得のいく選択をするための時間を確保できるのです。

生活の質を維持できる

認知症の早期発見には、将来の生活の質(QOL)を維持するという大きなメリットもあります。

早い段階で気づくことができれば、治療や進行を抑えるための対策と並行して、これからの生活に向けた準備を進めることが可能になります。例えば、自宅での生活を続けるのか、それとも将来的に施設での生活を検討するのかといった前提を含め、今後どのような暮らし方をしたいのかについて考える時間を確保できます。

また、あらかじめ準備期間を持つことで、必要となる支援や環境整備についても余裕をもって対応できるようになります。結果として、生活の変化に柔軟に対応しやすくなり、将来の不安を軽減することにもつながります。

特に認知症は、症状の進行の仕方に個人差が大きいことが特徴です。進行が比較的ゆるやかで、周囲のサポートを受けながら長期間にわたり自立した生活を続けられるケースも少なくありません。つまり、「認知症=すぐに介護が必要になる」というわけではないのです。

だからこそ、早期発見によって時間的な余裕を持ち、段階的に準備を進めていくことが重要です。それは本人だけでなく、支える家族にとっても、安心して日常生活を維持するための大きな支えとなります。

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家族の負担軽減につながる

認知症の早期発見は、本人だけでなく家族の負担を軽減するという点でも大きな意味を持ちます。

これまで見てきたように、早い段階で気づくことで将来に向けた準備の時間を確保できるようになります。この「時間の余裕」があるかどうかは、家族にとって非常に重要なポイントです。あらかじめ役割分担を考えたり、利用できる支援サービスを調べたりと、無理のない形で支援体制を整えることが可能になるのです。

認知症は進行とともに、日常生活でサポートが必要な場面が増えていく病気です。そのため、家族や周囲の人への影響を完全に避けることは難しいでしょう。しかし、事前に備える時間があれば、急な対応に追われる状況を減らし、心身の負担を分散させることができます。結果として、家族が無理なく関わり続けられる環境を整えやすくなり、長期的な支えにもつながります。

早期発見によって生まれる「準備の時間」は、家族にとっても安心して向き合うための大切なゆとりになるのです。

まとめ

今回は、認知症の初期症状として見られる変化をはじめ、早期発見のメリットや具体的な対応方法について解説してきました。

認知症は、年齢を重ねれば誰にとっても身近なリスクとなるものです。また、高齢化率の進行とともに患者数の増加が見込まれており、今後ますます私たちの生活に近い課題になっていくと考えられます。

一方で、現時点では認知症を完全に治す方法は確立されていません。だからこそ、本人や家族の将来に備えるうえで、早期発見・早期対応が重要になります。しかし実際には、初期症状は気づきにくく、見逃されやすいという難しさがあるのも事実です。

そうした中で、日常的に認知機能の状態を把握し、不安を感じた際にすぐ相談できる環境を整えておくことは、大きな安心につながります。『認知症と向き合う365』では、定期的な認知機能セルフチェックに加え、心理士や看護師などの専門スタッフへいつでも相談できる体制が用意されています。

さらに、MRIによる脳画像の撮影とAI解析を組み合わせた検査「BrainSuite®」を追加料金なしで受けることができ、脳の状態を多角的に把握する手段として活用することも可能です。こうした取り組みは、自身の状態を客観的に理解するきっかけにもなるでしょう。

認知症への備えは、特別なものではなく、日々の暮らしの延長線上にあるものです。将来に向けた安心のためにも、自分に合った方法での対策を検討してみてはいかがでしょうか。


【参考文献(書籍)】

  • 秋下雅弘(2023). 目で見てわかる認知症の予防. 成美堂出版.
  • 朝田隆(2025). 軽度認知障害(MCI)がわかる本. 講談社.
  • 旭俊臣(2022). 増補改訂版 早期発見+早期ケアで怖くない隠れ認知症. 幻冬舎.
  • 浦上克哉(2021). 科学的に正しい認知症予防講義. 翔泳社.
  • 大平哲也(2025). 健康な人の小さな習慣. ダイヤモンド社.
  • 樋口満(2025). 健康寿命と身体の科学. 講談社.
  • 森勇馬(2023). 認知症は予防が9割. マガジンハウス.
  • 和田秀樹(2024). みんなボケるんだから. SBクリエイティブ.

この記事の監修者

佐藤俊彦 医師

佐藤俊彦 医師

福島県立医科大学卒業。日本医科大学付属第一病院、獨協医科大学病院、鷲谷病院での勤務を経て、1997年に「宇都宮セントラルクリニック」を開院。
最新の医療機器やAIをいち早く取り入れ、「画像診断」によるがんの超早期発見に注力、2003年には、栃木県内初のPET装置を導入し、県内初の会員制のメディカル倶楽部を創設。
新たに 2023年春には東京世田谷でも同様の画像診断センター「セントラルクリニック世田谷」を開院。
著書に『ステージ4でもあきらめない 代謝と栄養でがんに挑む』(幻冬舎)『一生病気にならない 免疫力のスイッチ』(PHP研究所)など多数。