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認知症の原因とは?年齢だけではない8つの発症リスクを解説

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認知症の発症は加齢と深く関わっていることが知られています。そのため、平均寿命の長い先進国では、高齢化の進行に伴って認知症の患者数が増加しており、重要な社会課題のひとつとなっています。

なかでも日本は世界でも有数の長寿国であり、高齢化率も非常に高いことから、認知症の有病率が比較的高いことが指摘されています。さらに、今後も高齢化が進むことで、認知症とともに生活する人はさらに増加すると予想されています。

認知症の影響は、本人の生活だけにとどまりません。ケアやサポートを担う家族の負担や、介護離職、医療・介護費用の増加など、社会全体にも大きな影響を及ぼします。こうしたことから、認知症は個人や家庭だけの問題ではなく、社会全体で向き合うべき課題と言えるでしょう。

一方で、認知症がこれほど身近なテーマになっているにもかかわらず、いまだに偏見や誤解が残っており、その実態が十分に理解されているとは言い難い状況があります。そこで今回は、認知症とはどのような状態なのかをわかりやすく解説するとともに、認知症を引き起こす主な原因と、発症リスクを高める要因について紹介します。

認知症はなぜ起こる?主な原因と脳に見られる変化

認知症とはどのような状態か

「認知症」という言葉はよく耳にするものの、具体的にどのような状態を指すのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。実は、認知症とは特定の疾患名ではありません。「脳の病気や心身のさまざまなトラブルによって認知機能が低下し、その結果として日常生活や社会生活に支障をきたしている状態」の総称です。

認知症を引き起こす原因は非常に多く、100種類以上の原因疾患が存在するとされています。代表的なものとしてよく知られているのが「アルツハイマー病」です。しかし、アルツハイマー病そのものと認知症は同じ意味ではありません。アルツハイマー病は、脳の神経細胞が変性し、徐々に脳が萎縮していく病気です。この病気によって認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障が生じた状態を「アルツハイマー型認知症」と呼びます。

このように、認知症とは特定の病名ではなく、さまざまな原因によって生じる「状態」を指す言葉です。この違いを理解しておくことが、認知症を正しく知るための第一歩となります。

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脳で起きている変化

では、脳にどのような変化が起こると、認知症と診断されるほどの認知機能の低下につながるのでしょうか。

代表的な原因のひとつであるアルツハイマー病では、脳の神経細胞に変性が起こり、脳の容積が減少する「萎縮」という形で現れます。脳が萎縮すると、脳が担うさまざまな機能に影響が及びます。なかでも、記憶、計算、言語、判断といった高度な認知機能は、脳の変化の影響を受けやすいことが知られています。これらの機能は、私たちの思考や意思決定、コミュニケーションといった日常生活や社会生活を支える重要な働きです。

また、脳の萎縮は病気だけでなく、加齢によっても少しずつ進行します。そのため、年齢を重ねること自体が認知症の最も重要なリスク要因のひとつとされています。

しかし、認知症につながる脳の変化は萎縮だけではありません。脳梗塞や脳出血などによって脳の一部が損傷を受けると、認知機能の低下が起こることがあります。さらに、ケガや事故などによる頭部外傷、長期間にわたるうつ状態、過度の飲酒による脳への影響なども、認知機能の低下を引き起こし、認知症の発症につながる場合があります。

このように、認知症はひとつの原因によって起こるものではなく、脳に生じるさまざまな変化が積み重なった結果としてあらわれます。こうした背景を理解することは、予防や早期発見につなげるうえで重要です。

加齢だけが原因ではない理由

認知症の最大のリスク要因が加齢であることは間違いありません。年齢を重ねるにつれて脳は少しずつ萎縮し、それに伴って認知機能も低下しやすくなります。このため、認知症は誰にとっても無関係ではない問題と言えます。

ですが、認知症は年齢だけで決まるものではありません。認知症の原因となる疾患は100種類以上あるとされており、その多くに加齢以外のさまざまな要因が関わっています。

特に、日本の認知症の多くを占めるアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症といった、いわゆる「4大認知症」についても、加齢だけでなく、生活習慣や健康状態、脳へのさまざまな負担が発症リスクに影響すると考えられています。

例えば、脳梗塞や脳出血、高血圧や糖尿病、長期間のうつ状態、過度の飲酒などは、いずれも認知機能に悪影響を及ぼし、認知症の発症につながる可能性があります。これらの多くは、長年にわたる心身への負担の蓄積によって生じることが知られています。つまり、認知症は「年を取ったから突然起こるもの」ではなく、日々の生活習慣に加齢の影響が重なることで、徐々にリスクが高まっていくものなのです。

もちろん、加齢そのものを止めることはできません。しかし、生活習慣や健康状態といった加齢以外の要因については、今からでも改善することが可能です。実際に、十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、節酒、ストレス管理などによって、将来の認知症リスクを抑えられる可能性が示されています。

認知症は避けられないものではありません。日々の健康づくりを積み重ねることで、発症リスクを抑え、できるだけ長く自分らしい生活を続けられる可能性が高まります。次からは、加齢以外に認知症リスクを高める主な要因について、具体的に見ていきましょう。

認知症のリスク要因とは?発症に影響する生活習慣

要因①生活習慣病

認知症の発症リスクを高める要因の中でも、特に重要とされているのが高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病です。

これらの疾患は、血管や全身の健康に大きな影響を及ぼし、結果として脳にも慢性的な負担をかけます。脳は豊富な血液と酸素を必要とする臓器であるため、血流の状態が悪化すると、認知機能の低下につながる可能性を高めます。

なかでも高血圧や糖尿病は、脳梗塞や脳出血のリスクを高めることが知られており、脳血管性認知症の原因となることがあります。また、こうした疾患は脳の細かな血管にも影響を与え、大きな脳卒中を起こさなくても、長い年月をかけて認知機能に悪影響を及ぼすことがあります。

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要因②運動不足・身体活動の低下

見落とされがちですが、運動不足や日常の身体活動の低下も、認知機能の低下や認知症の発症リスクに深く関わっています。

脳と身体は密接に連携しており、身体の状態は脳のコンディションにも大きく影響します。体力や筋力が低下し、活動量が減ると、全身の血流や代謝が低下し、結果として脳の働きにも悪影響を及ぼしやすくなります。

特に高齢になると、「フレイル」と呼ばれる虚弱な状態に陥りやすくなります。フレイルとは、加齢に伴って筋力や体力、活動性が低下し、健康と要介護の中間にあるような状態を指します。この状態が進行し、活動量がさらに低下すると、認知症の発症リスクも高まることが知られています。

フレイルの背景には、活動量の低下によって筋力や体力が落ち、さらに動くことがおっくうになるという悪循環があります。この悪循環が続くことで、身体だけでなく脳の健康にも影響が及びやすくなるのです。

要因③栄養バランスの偏った食生活

食事は単にカロリーを補給するためのものではありません。私たちの身体は、脳を含めて日々口にするものを材料としてつくられており、食生活の内容は心身のコンディションに大きく影響します。

食べたものは、咀嚼した後に消化・吸収され、エネルギーや身体を構成する栄養素として全身へ届けられます。こうした一連の過程には多くの臓器が関わっており、食事は身体にとって重要な営みであると同時に、消化・吸収の過程では一定の負担がかかります。

そのため、脂質や糖分の多い食事が続くと、血糖値や血中脂質の変動が大きくなり、肥満や生活習慣病のリスクが高まりやすくなります。こうした状態は、心臓や血管だけでなく脳にも負担をかけ、長期的には認知機能の低下につながる可能性があります。

また、脂っこい食品や菓子類に偏った食生活は、必要な栄養素のバランスを崩しやすいという問題もあります。もちろん、こうした食品を楽しむこと自体が問題というわけではありませんが、日常的な偏った食生活が長期間続くと、将来の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

要因④睡眠不足

脳にとって睡眠は、日中の活動によって生じた負担を回復し、機能を維持するための重要なメンテナンスの時間です。

私たちの脳は、起きている間だけでなく、眠っている間も活動を続けています。呼吸や体温調節、自律神経の調整、記憶の整理など、生きている限り脳は休むことなく働き続けなければなりません。

こうした高度な働きを数十年という長期にわたって維持するために重要なのが睡眠です。睡眠中には、日中の活動によって脳内に蓄積した老廃物が排出されることが知られており、この仕組みが脳の健康維持に大きく関わっています。

この老廃物の排出が十分に行われず、脳内に蓄積すると、脳の萎縮やアルツハイマー病の発症に関与する可能性があることも示されています。つまり、睡眠不足は単に「疲れが取れない」という問題にとどまらず、脳のメンテナンス不足を招き、長期的には認知症のリスクを高める要因となり得るのです。

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要因⑤喫煙・過度な飲酒

喫煙や過度な飲酒は、それ自体が直接認知症を引き起こすわけではありませんが、認知症の原因となるさまざまな疾患のリスクを高めることが知られています。そのため、間接的に認知症の発症リスクを高める重要な要因と考えられています。

喫煙は、長期的に続けることで全身の血管を傷つけ、高血圧や動脈硬化、脳卒中、糖尿病などのリスクを高めます。これらはいずれも認知症、特に脳血管性認知症の発症に関係することが知られています。

一方、過度の飲酒を長期間続けると、脳の働きそのものに悪影響を及ぼし、記憶力や判断力の低下を招くことがあります。こうした状態が慢性化すると、「アルコール関連認知症」、いわゆるアルコール性認知症を引き起こすことがあります。

アルコール関連認知症は、早期に発見し、断酒や適切な治療を行うことで改善が期待できる場合もあります。しかし、受診や治療につながらず、そのまま症状が進行してしまうケースも少なくありません。また、長期間にわたる過度の飲酒は、アルコール関連認知症に限らず、他のタイプの認知症の発症リスクにも関係すると考えられています。

見落とされがちなリスク要因

これまで紹介してきた高血圧や糖尿病などの生活習慣病、睡眠不足、喫煙、過度な飲酒といった要因は、認知症の発症リスクを高めるだけではなく、心身の健康を損ねることが知られています。そのため、「脳の健康にも悪影響を及ぼしそうだ」と比較的イメージしやすいかもしれません。

一方で、認知症の特徴は「認知機能の低下」にあります。そして認知機能は、身体の病気だけでなく、心理的・社会的な要因によっても影響を受けることが分かっています。

例えば、強いストレス、孤立、うつ状態、生活への意欲の低下などは、一時的に記憶力や判断力を低下させることがあります。こうした変化自体は誰にでも起こりうるものであり、多くの場合、適切な休息や環境の改善によって回復します。

しかし、そのような状態が長く続くと、認知機能の回復が妨げられ、低下した状態が慢性化してしまうことがあります。そこに加齢や生活習慣病などの要因が重なることで、認知症の発症リスクがさらに高まる可能性があります。

つまり、認知症を防ぐためには、身体の健康だけでなく、心の健康や社会とのつながりを保つことも重要なのです。ここからは、意外と見落とされやすいリスク要因について詳しく見ていきましょう。

要因⑥ストレスと認知機能の関係

ストレスは、認知機能に大きな影響を及ぼすことが知られています。

ストレスとは、外部や内部からのさまざまな刺激に対して、心身が反応する一連の過程を指します。適度なストレスは日常生活の中で自然に生じるものですが、強いストレスや長期間続くストレスは、脳に大きな負担をかけることがあります。

ストレスを受けると、脳はその状況に対処するために多くのエネルギーを消費します。その結果、記憶力や集中力、判断力といった認知機能が十分に働きにくくなり、一時的な認知機能の低下が起こりやすくなります。

さらに、ストレスの問題は慢性化しやすいことにあります。現代社会では、仕事、人間関係、介護、経済的な不安など、すぐには解消しにくい要因が多く、知らず知らずのうちにストレスを抱え続けてしまうことも少なくありません。

こうした状態が続くと、脳が十分に回復できず、認知機能を良好な状態に保ちにくくなります。また、慢性的なストレスはうつ状態のきっかけにもなりやすく、うつによって記憶力や集中力が長期間低下することもあります。

特に高齢期のうつ状態は回復に時間がかかることがあり、活動量の低下や社会的な孤立を招くことで、認知機能の低下がさらに進み、認知症の発症リスクが高まる可能性があります。

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要因⑦孤独・社会的孤立

近年、孤独や社会的孤立も、認知症の発症リスクを高める重要な要因のひとつとされています。

人は社会的なつながりの中で生きる存在であり、他者との関わりは心の健康だけでなく、脳の働きにも良い影響を与えることが知られています。会話をしたり、相手の気持ちを考えたり、予定を立てて行動したりすることは、記憶力や判断力、注意力など、さまざまな認知機能を自然に使う機会になります。

また、安心できる人との交流はストレスを和らげ、心身の状態を整えるだけでなく、脳にも良い刺激を与え、認知機能の維持に役立つと考えられています。一方で、孤独や社会的孤立が続くと、心理的なストレスが増し、活動量や意欲が低下しやすくなります。その結果、認知機能にも悪影響が及ぶ可能性があります。

さらに、社会的な交流が少ない状態が続くと、自身の変化に気づきにくくなることがあります。仮に物忘れや判断力の低下が生じていても、それを指摘してくれる人がいないため、受診のタイミングを逃し、症状が進行してから初めて認知症が見つかるケースも少なくありません。

要因⑧難聴・感覚機能の低下

難聴も、認知症の発症リスクを高める重要な要因のひとつとされています。

年齢を重ねると、「最近聞き取りづらくなった」と感じることは珍しくありません。しかし、聴力の低下によって会話がしづらくなると、人との交流そのものがおっくうになりやすくなります。

会話は、相手の言葉を聞き取り、内容を理解し、自分の考えをまとめて返答するという、非常に高度な認知活動です。その機会が減ると、脳にとっての良い刺激が少なくなり、認知機能の低下につながる可能性があります。

また、聞こえにくさによって映画やテレビ、ニュースなどに触れる機会も減り、活動量や意欲の低下を招くことがあります。その結果、気分が落ち込みやすくなり、うつ状態を経て認知機能の低下が進むという悪循環に陥ることがあります。

こうした影響は聴力に限りません。視力の低下や口腔環境の悪化も、認知症リスクを高める可能性があることが分かっています。

特に口腔環境の悪化に伴う歯の喪失や歯周病は、認知症との関連が指摘されています。歯周病による慢性的な炎症が全身に影響を及ぼし、脳の健康にも悪影響を及ぼすことがあるためです。実際に、歯周病のある人は、そうでない人と比べて認知症の発症率が高いことを示した研究も報告されています。

認知症は予防できる?習慣化したい取り組み

ここまで、認知症の発症リスクを高めるさまざまな要因について見てきました。これらの多くは、生活習慣を整えたり、自身の健康状態を定期的に確認したりすることで、リスクを抑えられる可能性があることがわかっています。

現時点では、認知症を発症した後に完全に治すことは難しいとされています。そのため、認知症対策で最も重要なのは、「発症してから治す」ことではなく、「できるだけ発症を防ぐこと」、そして万が一変化が起きても早期に気づき、適切な対応につなげることです。

このような意味で、認知症に対しては「予防」という視点が非常に重要になります。予防といっても特別なことをする必要はなく、日々の生活の中で脳と身体の健康を守る習慣を積み重ねていくことが基本となります。

ここからは、認知症の発症リスクを抑えるために、今日から取り入れられる具体的な取り組みについて紹介します。

生活習慣病への対策

生活習慣病とは、生活習慣が深く関与しており、これを改善することで発症・進行の予防が期待できる疾患の総称です。代表的なものとして、高血圧、糖尿病、脂質異常症などがあります。

これらの疾患には、日々の生活習慣だけでなく遺伝的な要因が関わる場合もあります。例えば糖尿病の中には体質の影響が大きいケースもありますが、適切な治療と日々の健康管理によって、症状の進行や合併症のリスクを抑えることが可能です。

高血圧や脂質異常症についても同様で、栄養バランスの整った食事を心がけること、塩分や脂質の摂りすぎを控えること、適度な運動を継続することによって、発症リスクや重症化のリスクを下げることができます。

こうした取り組みは、生活習慣病の予防や管理に役立つだけでなく、脳や血管の健康を守り、将来的な認知症のリスクを抑えることにもつながります。

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質の良い睡眠を習慣化

睡眠は、脳のメンテナンスに欠かせない重要な時間です。それだけでなく、十分な睡眠時間を確保し、睡眠の質を保つことは、心身の健康を維持するうえで大きな意味を持ちます。

睡眠不足になると、集中力や判断力、記憶力といった認知機能が低下し、脳の働きそのものが大きく損なわれることが、多くの研究で明らかになっています。短期間の睡眠不足でも日中のパフォーマンスは低下しますが、これが長期間続くと、認知機能の低下が慢性化し、脳の働きに長期的な悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、睡眠不足は脳だけでなく全身の健康にも影響します。高血圧や心血管疾患、肥満、糖尿病などのリスクを高めることが知られており、認知症の発症リスクを間接的に高める要因にもなります。そのため、睡眠不足は決して軽視できません。

現在のところ、睡眠の役割を完全に代替できる方法はありません。仕事や家事、趣味などで削りやすい時間でもあるからこそ、意識して睡眠時間を確保することが大切です。

長期的に脳と身体の健康を守るためにも、十分な睡眠時間を確保し、質の良い睡眠を習慣化していきましょう。毎日の睡眠は、将来の認知機能を支える基本的かつ重要な健康習慣のひとつです。

脳に良い刺激を与える活動

日々の生活習慣を整えて心身の健康を維持することに加え、脳に適度な刺激を与える習慣を持つことも、認知機能の維持に役立つと考えられています。

なかでも運動は、体力や心肺機能、筋力の維持・向上に役立つだけでなく、脳の健康にも良い影響を与えます。身体を動かすことで血流が促進され、脳にも十分な酸素と血液が届けられるため、脳の働きの維持につながると考えられています。

脳の健康のための運動は、必ずしも高い強度である必要はありません。ウォーキングや散歩、ラジオ体操など、無理なく続けられる軽い運動でも十分に効果が期待できます。大切なのは、楽しみながら習慣化することです。

また、運動以外にも、脳に良い刺激を与える活動は数多くあります。読書や映画、演劇などの作品に触れて感情を動かすこと、新しい場所を訪れたり旅行の計画を立てたりすること、これまで経験したことのないことに挑戦することなども、脳にとって良い刺激になります。

こうした活動は、「楽しい」「面白い」といった前向きな感情と結びつくことで、より継続しやすくなります。自分の興味や好奇心を大切にし、新しい体験を生活に取り入れていくことが、脳に良い刺激となり、認知機能の維持につながります。

早期からの取り組みが重要な理由

ここまで紹介してきた認知症予防のための取り組みは、特別に難しいものではありません。多くは、心身の健康を良好に保つための基本的な習慣です。つまり、認知症予防とは、特別なことをするというよりも、日々の健康づくりを継続することにほかなりません。

こうした取り組みは、いつ始めても意味があります。しかし、早い段階から取り組むほど、その効果を長期的に積み重ねやすくなります。認知症は長い年月をかけて発症リスクが高まっていくため、若いうちから脳と身体の健康を意識することが、将来の生活の質(QOL)の維持にもつながります。

また、認知症予防において最も重要なのは「継続すること」です。これは健康づくり全般にも共通するポイントです。

継続するために大切なのは、最初から完璧を目指さないことです。自分にとって負担の大きい方法は長続きしにくいため、まずは「これならできそう」と思えることをひとつ取り入れ、習慣化することから始めましょう。慣れてきたら、無理のない範囲で少しずつ取り組みを増やしていきましょう。

認知症予防も健康づくりも、日々の小さな積み重ねが将来の大きな安心につながります。今日からの取り組みが、将来の脳の健康を支える大切な土台となります。

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まとめ

今回は、認知症を引き起こす主な原因と、その発症リスクを高める要因について解説するとともに、予防のため取り組みを紹介しました。

高齢化が進む現代において、認知症はますます身近な課題となっています。年齢を重ねることで誰にでも起こりうる可能性がある一方で、認知症について正しく理解し、心身の健康を良好に保つための習慣を継続することで、発症リスクを抑えられる可能性が示されています。

認知症予防の基本は、特別なことではありません。十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、生活習慣病の管理、社会とのつながりを保つことなど、日々の健康づくりそのものが、将来の脳の健康を支える土台になります。

また、予防の取り組みに加えて、認知機能の変化に早期に気づくための仕組みを整えておくことも大切です。例えば、『認知症と向き合う365』では、定期的な認知機能のセルフチェックに加え、MRI撮影とAI解析による「BrainSuite®」を定額で利用でき、自分の脳の状態を継続的に把握することができます。

さらに、医師や心理士などの専門スタッフに相談できるため、不安を一人で抱え込まず、必要に応じて早めに適切な対応につなげやすい点も大きな特徴です。

認知症予防も、健康づくりと同じく「早く始めて、無理なく続けること」が重要です。日々の習慣を整えることに加え、こうしたサービスを活用して定期的に脳の状態を確認することで、より安心して将来に備えやすくなります。


【参考文献(ウェブサイト)】

【参考文献(書籍)】

  • 秋下雅弘(2023). 目で見てわかる認知症の予防. 成美堂出版.
  • 朝田隆(2014). まだ間に合う!今すぐ始める認知症予防. 講談社.
  • 朝田隆(2025). 軽度認知障害(MCI)がわかる本. 講談社.
  • 朝田隆(2023). 認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること. アスコム.
  • 旭俊臣(2022). 増補改訂版 早期発見+早期ケアで怖くない隠れ認知症. 幻冬舎.
  • 浦上克哉(2021). 科学的に正しい認知症予防講義. 翔泳社.
  • 加藤俊則(2021). ビジュアル図解 脳のしくみがわかる本. メイツ出版.
  • 北原逸美/ながさき一生(2025). 認知症の教科書 増補改訂版. ニュートン.
  • 櫻井武(2017). 睡眠の科学・改訂新版. 講談社.
  • 杉晴夫(2008). ストレスとはなんだろう. 講談社.
  • 高島明彦/村上もとか(2022). JIN-仁-と学ぶ認知症「超」早期発見と予防法. 集英社クリエイティブ.
  • 長尾和宏(2023). コロナと認知症. ブックマン社.
  • 森勇馬(2023). 認知症は予防が9割. マガジンハウス.
  • 柳沢正史(2024). 今さら聞けない 睡眠の超基本. 朝日新聞出版.
  • 山田悠史(2022). 最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM. 講談社.
  • 山田悠史(2025). 認知症になる人 ならない人. 講談社.
  • 渡辺恭良/水野敬(2018). 疲労と回復の科学. 日刊工業新聞社.

この記事の監修者

佐藤俊彦 医師

佐藤俊彦 医師

福島県立医科大学卒業。日本医科大学付属第一病院、獨協医科大学病院、鷲谷病院での勤務を経て、1997年に「宇都宮セントラルクリニック」を開院。
最新の医療機器やAIをいち早く取り入れ、「画像診断」によるがんの超早期発見に注力、2003年には、栃木県内初のPET装置を導入し、県内初の会員制のメディカル倶楽部を創設。
新たに 2023年春には東京世田谷でも同様の画像診断センター「セントラルクリニック世田谷」を開院。
著書に『ステージ4でもあきらめない 代謝と栄養でがんに挑む』(幻冬舎)『一生病気にならない 免疫力のスイッチ』(PHP研究所)など多数。