「年のせい」だけじゃない!50代の物忘れ、その原因と改善方法を解説
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世界有数の長寿国である日本では、50代は「まだ若い」と感じられることも多いかもしれません。しかし、50年という年月は決して短くなく、心身にさまざまな変化があらわれはじめる時期でもあります。実際、「老化」を実感している方も少なくはないのでしょうか。
こうした老化による変化の中でも、特に自覚しやすいのが「物忘れ」です。物忘れは、疲労やストレス、睡眠不足などが原因で誰にでも起こり得るため、決して特別なものではありません。しかし、加齢とともにその頻度が増えていく傾向があるのも事実です。
加齢による物忘れ自体は自然な現象であり、ある程度は避けられない側面もあります。ただし、その中には認知症の初期サインが含まれている可能性もあり、注意が必要です。認知機能は、放置して自然に改善することは難しく、老化の進行とともに影響を受けやすくなります。
一方で、50代は予防や改善に取り組む余地が十分に残されている年代でもあります。生活習慣を見直し、心身や脳に良い影響を与える取り組みを取り入れることで、認知機能の低下を抑え、脳の働きを長期的に維持できる可能性が高まります。
そこで今回は、50代に増えやすい物忘れの原因を解説するとともに、将来に向けてポジティブな効果が期待できる改善方法について詳しく解説します。
50代で物忘れが増えるのはなぜ?
人の老化は、一定のペースで少しずつ進んでいくものです。物語の浦島太郎のように、短期間で一気に年を取ることは現実にはありません。しかし一方で、老化の進み方には「節目」があると考えられています。近年の研究では、40代半ばと60歳前後に、身体の変化の度合いがそれまでのリズムから大きく変わる人が多いことが示されています。
50代は、ちょうどこの最初の節目を過ぎた時期にあたります。そのため、これまであまり意識してこなかった老化のサインを、ひざや腰、肩といった身体の不調だけでなく、記憶力や判断力といった認知機能の変化として感じはじめる方も少なくありません。
認知機能を司る脳の老化は「萎縮」と呼ばれる脳の容量の減少という形で進行します。脳の容量はおおむね20歳前後をピークに、その後は緩やかに減少していくことが知られています。30〜40代では自覚症状がほとんどなく、「特に問題はない」と感じていた方でも、脳の萎縮自体は少しずつ進んでいます。その変化が長年にわたって積み重なった結果、50代になると物忘れとして自覚しやすくなるのです。
さらに、脳の働きは身体の状態とも深く関係しています。50代では筋力や体力といった身体機能の低下も進みやすく、身体機能の変化が進むことで、脳の働きの変化も自覚されやすくなると考えられています。加えて、50代は仕事や家庭で中心的な役割を担う現役世代でもあり、責任の重さや多忙さから、ストレスや生活習慣の乱れを抱えやすい時期です。こうしたさまざまな要因が重なることで、脳が疲労し、物忘れが増えたと感じる人も少なくありません。
このように、50代で物忘れが増える背景には、加齢による脳の変化、身体機能の衰え、そして生活環境やストレスといった複数の要素が関係しています。次からは50代で物忘れが増えるより具体的な理由と、その背景にあるメカニズムについて見ていきましょう。

画像素材:PIXTA50代の物忘れの主な原因
脳の疲労と情報過多
近年「デジタルデトックス」という言葉が広く知られるようになりました。これは、スマートフォンやインターネットなどから意識的に距離を置き、脳に入ってくる情報量を制限する取り組みです。実際に、こうした工夫によって、集中力の向上や主観的な疲労感の軽減など、一定の効果があることが知られています。
スマートフォンやインターネットの普及により、現代人を取り巻く情報量はかつてないほど増え続けています。仕事でもプライベートでも常に通知やメッセージにさらされ、テレワークによって仕事用のデバイスを手放せない環境にある人も少なくありません。また、一人暮らしで人とのやり取りが主にSNS中心になっているなど、デジタル機器に依存しやすい生活スタイルも一般的になりつつあります。その結果、情報過多による脳の疲労に陥りやすくなります。
一方で、情報量が急激に増えているのに対し、脳の処理能力そのものが大きく向上しているわけではありません。限られた処理能力の中で、膨大な情報を常に受け取り続けていれば、脳が疲労してしまうのも無理はないでしょう。
特に50代は、職場や家庭において重要な役割を担っていることが多く、把握すべき情報や判断を求められる場面も増えがちです。しかし、脳の処理能力には限界があります。その限界を常に使い切るような状態が続けば、脳は疲弊し、一時的に認知機能が低下して物忘れが増えることも珍しくありません。
睡眠不足の影響
自身を取り巻く環境が認知機能に与える影響は大きいものですが、それと同時に、脳そのものの健康状態も物忘れに深く関わっています。なかでも睡眠不足は、脳のコンディションに強い影響を及ぼす要因として知られています。
睡眠は、単に身体を休ませる時間ではありません。日中の活動によって蓄積した脳の老廃物を排出し、記憶や情報を整理・定着させる、いわば脳のメンテナンス時間でもあります。私たちが毎日眠る必要があるのは、覚醒中に非常に多くの情報を処理し、脳に負荷がかけ続けているからにほかなりません。
そのため、睡眠が不足すると脳の回復が追いつかず、コンディションは確実に低下します。さまざまな研究からも、睡眠不足が集中力や判断力といった高度な認知機能を低下させることが明らかになっています。わずかな睡眠不足でも、集中力や判断力への影響が数日続く場合があると報告されており、睡眠不足は少しずつ確実に「負債」として蓄積されていきます。
さらに、その影響は認知機能にとどまりません。感情のコントロールが難しくなる、免疫力が低下するなど、睡眠不足は心身のさまざまな機能に悪影響を及ぼします。特に日本人は、先進国の中でも睡眠時間が短い傾向にあり、慢性的な睡眠不足に陥っている人が少なくありません。その結果、気づかないうちに大きな睡眠負債を抱えた状態になっている可能性も十分に考えられます。こうした状態が続けば、脳への負担が蓄積し、物忘れが増えるのも無理はないでしょう。
ストレスによる脳への負担増加
ストレスはメンタルヘルスに大きな影響を及ぼすだけでなく、心身や脳の働きにもさまざまな変化をもたらします。記憶力をはじめとした認知機能もその例外ではありません。
一口にストレスといっても、その種類はさまざまです。ケガや病気、睡眠不足などによる身体的ストレスに加え、職場や家庭、人間関係といった環境から生じる精神的ストレスも、私たちの脳に負担をかけます。こうしたストレスは脳の視床下部に伝えられ、コルチゾールと呼ばれる「ストレスホルモン」の分泌を促します。同時に自律神経にも影響を及ぼすため、食欲不振や胃痛、慢性的な疲労感など、身体の不調としてあらわれることも少なくありません。
ストレスそのものが直接的に物忘れの原因になるケースは多くはありません。しかし、ストレスによって心身のコンディションが乱れることで、脳の働きが低下し、その結果として記憶力が一時的に落ちるケースはよく見られます。
こうした物忘れは、ストレスが解消され、生活リズムや体調が整うことで回復する場合がほとんどです。しかし一方で、ストレスが長期間にわたって解消されず、うつ状態に陥ってしまうと状況は異なります。その状態が続くことで、将来的な認知機能の低下や認知症のリスクが高まる可能性も指摘されています。ストレスが脳に及ぼす影響は、私たちが思っている以上に大きく、決して軽視できるものではありません。

画像素材:PIXTA注意が必要な物忘れとそうではない物忘れの違い
物忘れが増えてくると、つい「年齢のせい」「少し疲れているだけ」と楽観的に受け止めてしまいがちです。しかし、そうした物忘れの中には、今後さらに認知機能が低下する可能性を示す、注意すべき変化が隠れている場合もあります。すべてを一括りにして見過ごしてしまうのは、決して賢明とは言えません。
というのも、認知機能は放置して自然に改善することが期待しにくいからです。特に50代になると、若い頃のように「放っておけば治る」という感覚が通用しなくなってきます。風邪ひとつ取っても回復に時間がかかるように、認知機能もまた、身体機能と同様に少しずつ衰えており、回復力に任せきりにすることは難しくなっています。
だからこそ、自分自身の変化に目を向け、「何かおかしい」「以前と違うかもしれない」と感じた時には、早めに対処する姿勢が将来的な認知機能の維持につながります。物忘れのすべてが問題というわけではありませんが、自分の状態を見直すきっかけとして活かすことで、将来の安心につながります。
なお、50代で物忘れが気になる場合、その背景には加齢による変化だけでなく、更年期に伴うホルモンバランスの乱れや気分の落ち込み、うつ病、睡眠時無呼吸症候群などの病気が関わっているケースもあります。特に「気分が沈む」「よく眠れない」「いびきが強い」などの症状を伴うときは、放置せずに早めに医療機関で相談してみることも大切です。
そのためにも、「注意が必要な物忘れ」と「そうではない物忘れ」の違いを知っておくことが大切です。ここからは、特に注意しておきたい物忘れの特徴について、具体的に見ていきましょう。
同じミスや忘れごとが増えている
ミスや度忘れは、誰にでも起こり得るものです。疲労やストレス、睡眠不足など、これまで見てきたさまざまな要因によって、一時的に増えることも珍しくありません。しかし、同じミスを何度も繰り返す、あるいは度忘れが頻繁に続くようであれば、注意が必要です。
というのも、その背景には「ワーキングメモリ」や「短期記憶」の低下が関係している可能性があるからです。ワーキングメモリとは、数分から数時間ほどの間、情報を一時的に保持しながら処理する記憶機能のことを指します。たとえば、相手の話を聞きながら内容を理解したり、会話の流れに沿って必要な情報を取捨選択したりする際に欠かせない働きです。一方、短期記憶は、数秒から数日程度の短い期間に保持される記憶を指します。
これらの記憶機能は、疲労やストレスによって一時的に低下することが知られており、十分な休息を取ることで回復するケースがほとんどです。そのため、短期間で改善するようであれば、過度に心配する必要はないでしょう。しかし、低下した状態が長期間にわたって続くと、その状態が「当たり前」になってしまい、本来のパフォーマンスに戻すことが難しくなる可能性があります。
だからこそ、同じミスや度忘れが続いていることに気づいた段階で、生活習慣や休息の取り方を見直すなど、早めに対処することが重要です。小さな変化を見逃さず、早期に向き合う姿勢が、将来的な認知機能の維持につながります。
段取りや判断力が落ちてきた
段取り力や判断力の低下を自覚するようになった場合も、注意が必要です。これらの機能は、物事を俯瞰して全体像を把握し、複数の情報を整理したうえで適切に取捨選択する力であり、脳が担う機能の中でも特に高度なものとされています。そのため、脳機能が衰えはじめている場合や、疲労やストレスが蓄積している状態では、影響を受けやすく、著しく低下しやすい傾向があります。
一方で、段取り力や判断力の低下は、単なる「うっかり」や「忙しさのせい」と片付けられがちですが、脳からの重要なサインである可能性も否定できません。こうした状態が長期間続くと、ワーキングメモリや短期記憶と同様に、機能が低下した状態が常態化してしまい、元のパフォーマンスに戻りにくくなるリスクが高まります。
さらに、年齢を重ねるにつれて、段取り力や判断力は自然と衰えやすくなることが知られています。そこに疲労やストレス、生活習慣の乱れといった要因が重なると、将来的な認知機能全体にも影響を及ぼす可能性があります。だからこそ、「以前より判断に迷うことが増えた」「物事を進めるのに時間がかかるようになった」と感じた段階で、できるだけ早く生活や働き方を見直し、必要に応じて対処していくことが大切です。

画像素材:PIXTA家族や同僚に指摘されることが増えた
自分では「特に変わっていない」と感じていても、家族や同僚から物忘れやミスを指摘される機会が増えてきた場合には、より注意が必要です。周囲の人からの指摘は、自分自身では気づいていない、あるいは十分に自覚できていない変化が起きている可能性を示しています。こうしたケースでは、本人の認識以上に認知機能の低下が進んでいることが決して珍しくありません。
そのため、指摘を受けた際には、「なぜそうなったのか」「その時の体調や生活状況はどうだったのか」といった点を、一度立ち止まって振り返ってみることが大切です。忙しさや一時的な疲労など、明確な理由に心当たりがないにもかかわらず同様の指摘が続く場合には注意が必要です。
こうした変化の背景には、うつ状態や精神的な不調が影響している可能性に加え、認知機能の低下が関係していることも考えられます。不安を抱えたまま自己判断で済ませるのではなく、必要に応じて早めに専門家へ相談することが、将来的な安心につながります。
50代からはじめたい物忘れのための取り組み
ここからは、記憶力を保ち、将来の健康を守るために、50代から意識して取り入れたい具体的な取り組みについて紹介します。
本記事の冒頭でも触れたように、日本は世界有数の長寿国ですが、「平均寿命」と「健康寿命」のあいだには、およそ10年前後の差があるとされています。平均寿命が「生まれてから亡くなるまでの期間」を指すのに対し、健康寿命とは「介助を必要とせず、自立した生活を送れる期間」のことです。この健康寿命をいかに延ばせるかが、将来の生活の質を大きく左右します。
誰しも、できるだけ長く、元気に自分らしく生活したいと願うものです。年齢を重ねたからといって、常に誰かの世話を受ける状態はできれば避けたいと感じる方も多いでしょう。そのために欠かせないのが、将来「要介護」状態にならないための備えです。
要介護対策とは「健康な状態をできるだけ長く維持すること」にほかなりません。心身や脳のコンディションを日頃から整えておくことが、そのまま将来の自立した生活を支える土台になります。
次からは、物忘れの予防だけでなく、要介護対策にもつながる、50代から実践したい健康づくりのポイントについて、具体的に見ていきましょう。
生活習慣の見直し
脂っこい食事やアルコールなど、身体や健康にあまり好ましくない行為も、たまに楽しむ程度であれば大きな問題になることはありません。しかし、こうした行動は気づかないうちに習慣化しやすく、一度身についてしまうと見直すのが難しくなる傾向があります。
だからこそ一度立ち止まり、自分の生活習慣を客観的に振り返ってみることが大切です。現在の生活の中に、身体に負担をかけている習慣がどれくらいあるのか、もし思い当たる点があれば、どのように改善できそうかを考えてみましょう。 たとえば、次のような状態が日常的になっている場合は注意が必要です。
- 慢性的な睡眠不足が続き、日中に強い眠気を感じている
- 運動する習慣がほとんどなく、階段の上り下りさえ避けがち
- 外食や中食が中心で、食事の栄養バランスを把握できていない
- 健康状態の把握が職場の健康診断だけにとどまっている
これらの生活習慣は、短期的には大きな不調として現れにくいものの、長期的に続くことで生活習慣病のリスクを高め、結果として心疾患や脳血管障害、さらには認知症のリスク上昇にもつながる可能性があります。
この機会に、今の生活を一度見直してみましょう。健康に悪影響を及ぼす習慣を少しずつ減らし、心身や脳にとってプラスになる行動を増やしていくことが、将来の健康を守る第一歩になります。

画像素材:PIXTA十分な睡眠で脳をリフレッシュ
睡眠不足は記憶力の低下を招くだけでなく、免疫力の低下や肥満といったさまざまな健康リスクに加え、認知症のリスクまでもを高める可能性が指摘されています。裏を返せば、適切な睡眠時間を安定して確保することは、これらのリスクを抑えるうえで非常に有効だということです。
年齢を重ねるにつれて、さまざまな疾患のリスクは少しずつ高まっていきます。もし現在、「忙しいから」「仕方がないから」と睡眠を後回しにする生活が当たり前になっているのであれば、この機会に一度自身の睡眠習慣を見直してみましょう。十分な睡眠は、健康リスクの軽減だけでなく、日中のパフォーマンス向上や心身のリフレッシュにもつながります。しかも、特別な費用がかからない点も大きなメリットです。
ただし、睡眠は自分では質を正確に評価しにくいものです。そこで一つの目安として意識したいのが、「日中に強い眠気を感じないかどうか」です。近年、睡眠は質を無理に高めようとするよりも、十分な量を確保することが重要だと考えられています。「効率の良い睡眠」だけを追い求めるより、まずは睡眠時間を確保することを優先しましょう。
理想的なのは、目覚まし時計が鳴る前に自然に目が覚める状態ですが、これまで睡眠不足が続いていた場合、すぐに実現するのは難しいかもしれません。その場合でも、できるだけ長めの睡眠時間を意識的に確保し続けることが大切です。
一般的に、健康の観点から、7時間前後の睡眠時間が一つの目安だと言われています。自分にとって最適な睡眠時間が分からない場合は、まず7時間を目安に確保し、日中の体調や眠気の有無を見ながら、必要に応じて調整していきましょう。
運動習慣で心身の充実
私たちは数十年という長い時間を生きていく存在です。衣食住などの生活環境を整えることはもちろん重要ですが、それと同様に、心身の充実も欠かすことはできません。
ウェルビーイングとは、世界保健機関(WHO)や文部科学省をはじめとする多くの公的機関が推奨している概念で、「身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること」を指します。これは一時的な幸福感にとどまらず、生きがいや人生の意義といった、将来にわたって持続する幸福を含む考え方です。
こうしたウェルビーイングの実現に向けて、特におすすめしたいのが運動習慣です。運動は、体力の向上や心肺機能の強化だけでなく、気分転換によるリフレッシュ効果、睡眠の質の向上、さらには達成感による充足感など、心身の両面にポジティブな影響をもたらします。
さらに、老化による身体機能の低下は、何もしなければ徐々に進行していきます。運動習慣がある人ほど、認知症の有症率や要介護率が低いことも報告されており、将来を見越した介護予防・認知症対策としても運動はとても有効です。
「しばらく運動から離れている」「これまで運動習慣がなかった」という方も多いかもしれません。そんな方こそ、この機会に運動習慣を取り入れ、ウェルビーイングの実現を目指してみてはいかがでしょうか。
心身の充足や身体機能の維持を目的とした運動では、種目にこだわる必要はありません。大切なのは、「習慣化すること」「無理なく継続すること」です。ご自身の体力や生活リズムに合わせ、楽しみながら続けられる運動を選ぶことが、長続きのコツです。
これを機に、これまで興味はあったものの挑戦できなかった運動に取り組んでみるのもおすすめです。フラダンスやボクシング、ピラティスなど、新しい世界に挑戦することが、ウェルビーイングを実現する一つのきっかけになります。

画像素材:PIXTA脳を元気にする食生活
私たちの身体は、骨や筋肉、そして脳を含む内臓など、非常に多くの要素によって構成されています。これらの要素を形作っているのが、毎日の食事です。
身体と脳の健康を長期的に維持していくためには、食生活の見直しが欠かせません。まずは現在の食生活を振り返り、必要な栄養素が十分に摂れているか、不足しているものや過剰に摂りすぎているものがないかを確認してみましょう。
必要なカロリーや栄養素の量は、性別や年齢、日々の運動量によって大きく異なります。こうしたバランスを自己判断だけで正確に把握するのは難しいため、食事バランスを可視化できるアプリを活用するのも一つの方法です。
アプリを使って日々の食事内容を記録することで、栄養の過不足が分かりやすくなります。過剰になっているものは控え、不足しているものは意識して補う――この積み重ねが、健康的な食生活につながります。
近年では、外食やコンビニ、スーパーの惣菜にも、カロリーや栄養成分が表示されている商品が増えています。こうした表示を参考にしながら食品を選ぶことで、無理なくバランスのよい食事を心がけていきましょう。
『認知症と向き合う365』で変化に気づきやすい環境づくり
総務省が公表している「令和3年版高齢社会白書」によると、要介護となる原因の第1位は認知症であり、大きな割合を占めています。このことからも、要介護対策を考えるうえで、認知症への対策が極めて重要であることが分かります。
認知症とは、「病気や心身のトラブルによって認知機能が低下し、社会生活や日常生活に支障をきたす状態」の総称です。特定の一つの病名を指すものではなく、原因となる疾患や背景は多岐にわたり、さまざまな要因が複雑に関係しています。認知症の患者数は年々増加しており、現在では65歳以上の数人に1人が認知症、またはその予備軍とされています。決して特別な病気ではなく、誰にとっても身近な健康課題となりつつあります。
一方で、多くの認知症は脳の病変によって引き起こされるため、現状では元の状態に完全に戻すことは難しいとされています。そのため、認知症対策において最も重要かつ効果的なのは、発症リスクを抑えること、すなわち予防です。ほとんどの認知症は、数年から十数年という長い時間をかけて、緩やかに進行します。この変化の初期段階で気づき、適切な対応につなげることができれば、発症リスクの抑制や要介護状態への進行を防ぐことが期待できます。
しかし、脳は目で見ることができる器官ではありません。そのため、変化に気づくことは容易ではなく、本人や周囲が「何かおかしい」と違和感を覚えたときには、すでに症状が進行しているケースが少なくありません。だからこそ、認知症の発症リスクを抑えるためには、変化に早く気づける環境づくりが欠かせません。
そこでおすすめしたいのが『認知症と向き合う365』です。このサービスでは、定期的な認知機能のセルフチェックに加え、MRI撮影とAIによる解析を組み合わせた「BrainSuite®」を追加料金なしで利用できます。脳を「機能」と「構造」の両面から捉えることで、日常では気づきにくい変化に気づきやすくなるサポートをします。
近年の研究では、認知症は発症の10~20年も前から脳の病変が始まっている可能性が指摘されています。症状が気になりはじめてから対策を講じるのではなく、早い段階から自身の脳の状態を定期的にセルフモニタリングすることが重要です。
こうした取り組みは、脳の変化に気づきやすくなるだけでなく、自身の健康と向き合う意識を高めることにもつながります。将来にわたって自分らしい生活を続けるために、今からできる一歩として、環境づくりをはじめてみてはいかがでしょうか。

画像素材:PIXTAまとめ
今回は、50代に増えやすい物忘れの原因を解説するとともに、記憶力や将来の健康維持のために効果的な取り組みについて詳しく紹介しました。
長寿化が進む日本において、50代は人生の折り返し地点ともいえる時期です。一方で、半世紀という年月は決して短くはなく、これまでの生活習慣や心身への負荷が、物忘れをはじめとした様々な形であらわれはじめる年代でもあります。
しかし、50代はまだ十分に軌道修正ができる年齢でもあります。今から取り組む健康づくりは、これから先の人生を支える大切な土台となり、将来の生活の質やウェルビーイングに大きく影響します。
健康づくりは、いつはじめても意味がありますが、早くはじめるほど得られる効果が大きいのも事実です。ぜひこの機会に、自身の将来を見据え、これからの人生をより健やかに過ごすための健康への投資をはじめてみてはいかがでしょうか。
- 画像素材:PIXTA
【参考文献(ウェブサイト)】
- 内閣府(n.d.). 令和3年版高齢社会白書(全体版). [オンライン]. 2026年3月4日アクセス,
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/html/zenbun/index.html - 文部科学省(2023). ウェルビーイングの向上について(次期教育振興基本計画における方向性). [オンライン]. 2026年3月4日アクセス,
https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000214299.pdf
【参考文献(書籍)】
- 秋下雅弘(2023). 目で見てわかる認知症の予防. 成美堂出版.
- 朝田隆(2014). まだ間に合う!今すぐ始める認知症予防. 講談社.
- 旭俊臣(2022). 増補改訂版 早期発見+早期ケアで怖くない隠れ認知症. 幻冬舎.
- 石井直明(2021). アンチエイジングの教科書. 東海教育研究所.
- 伊藤裕(2025). 老化負債. 幻冬舎.
- 浦上克哉(2021). 科学的に正しい認知症予防講義. 翔泳社.
- 加藤俊則(2021). ビジュアル図解 脳のしくみがわかる本. メイツ出版.
- 杉晴夫(2008). ストレスとはなんだろう. 講談社.
- 佐藤成美(2022). 本当に役立つ栄養学. 講談社.
- 中尾篤人(2025). 「免疫、マジわからん」と思ったときに読む本. オーム社.
- 中西真/新井康通(2024). 今と未来がわかる 老化の科学. ナツメ社.
- 森勇馬(2023). 認知症は予防が9割. マガジンハウス.
- 山田悠史(2025). 認知症になる人 ならない人. 講談社.
- 和田秀樹(2024). みんなボケるんだから. SBクリエイティブ.
- 渡辺恭良/水野敬(2018). 疲労と回復の科学. 日刊工業新聞社.
この記事の監修者
佐藤俊彦 医師
福島県立医科大学卒業。日本医科大学付属第一病院、獨協医科大学病院、鷲谷病院での勤務を経て、1997年に「宇都宮セントラルクリニック」を開院。
最新の医療機器やAIをいち早く取り入れ、「画像診断」によるがんの超早期発見に注力、2003年には、栃木県内初のPET装置を導入し、県内初の会員制のメディカル倶楽部を創設。
新たに 2023年春には東京世田谷でも同様の画像診断センター「セントラルクリニック世田谷」を開院。
著書に『ステージ4でもあきらめない 代謝と栄養でがんに挑む』(幻冬舎)『一生病気にならない 免疫力のスイッチ』(PHP研究所)など多数。
