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これからの健康を左右する「老化との向き合い方」

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生きとし生けるものは、老い、やがて死を迎えます。これはこの世の理であり、誰ひとり例外はありません。一方で、医療や生活環境の進歩により、人生100年時代と言われるほど、人が長く生きることは特別なことではなくなりつつあります。

そうした長い人生を見渡してみると、「若い」と呼べる期間は意外なほど短く、その後の人生の多くは「老い」とともに過ごす時間で占められます。しかも老いは、ある日突然訪れるものではなく、時間の経過とともに少しずつ進行し、蓄積していくものです。言い換えれば、生き続けるということは、老い続けることとほぼ同義と言えます。

とはいえ、誰しも「どうせ老いるなら、できるだけ若々しく、いきいきと過ごしたい」と願うものです。幸いなことに、近年の研究によって、老化の進行をゆるやかにするための取り組み、いわゆる老化対策において、一定の効果が示されてきています。老いは避けられないものですが、向き合い方次第で、その質を変えることは可能なのです。

ただし、適切な老化対策をおこなうためには、まず「老化そのもの」を正しく理解し、受け入れることが欠かせません。そのうえで、「これからどんなふうに年齢を重ね、どのような状態で過ごしたいのか」を明確にする必要があります。 そこで今回は、人の老化についてわかりやすく解説するとともに、具体的な老化との向き合い方について紹介します。

なぜ「老化との向き合い方」が健康を左右するのか

では、なぜ「老化との向き合い方」が、これからの健康を大きく左右するのでしょうか。まず押さえておきたいのは、「老化の進み方は人それぞれ異なる」という事実です。

老化の速度やあらわれ方は、遺伝的要因だけでなく、これまでの生活習慣や環境など、さまざまな要因の影響を受けています。そのため、誰一人として同じペースで老化が進むことはありません。実際に「同年代なのに、あの人は若々しく見える」「自分は人より疲れやすい気がする」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

そもそも私たちの身体は、この世にふたつとして同じものが存在しない、いわばオーダーメイド品のようなものです。近い年齢で似たような生活を送っていても、体型や体質が同じにならないのと同じように、老化のあらわれ方や進み方も人それぞれなのです。

こうした前提を踏まえ、老化対策とは特別なことではなく、実質的には「長期的な健康づくりそのもの」だと言えます。健康な状態をできるだけ長く維持することが、結果として老化の進行をゆるやかにすることにつながるのです。

健康づくりにおいて重要なのは、自分自身の体質や生活習慣を踏まえたうえで、健康に好ましくない要因を減らし、健康に良い行動を少しずつ増やしていくことです。この考え方は、老化対策においても変わりません。

健康づくりに遅すぎることはありませんが、老化対策の本質が「健康な状態を長期的に維持すること」である以上、早くはじめるほど効果が期待できるのも事実です。生活習慣病や、さまざまな疾患の遠因となり得るメタボリックシンドロームへの対策は、できるだけ早期から取り組むことで、将来的なリスクをより抑えやすくなります。

とはいえ、自分の衰えや不調と向き合うことに抵抗を感じるのは自然なことです。「老化」は多くの人にとって直視したくない変化でもあります。しかし、老化対策、すなわち長期的な健康づくりのためには、老いつつある「今の自分」と向き合い、その先に続く老化の過程を見据えることが欠かせません。

自分の老化を正しく捉えることで、今の自分に何が足りていないのかに気づき、それを少しずつ補っていくことが可能になります。そして、その積み重ねは早ければ早いほど、大きな意味を持つのです。

こうした理由から、「老化との向き合い方」は、これからの健康だけでなく、今後の人生そのものを左右すると言っても過言ではありません。

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画像素材:PIXTA

老化はどこまで抑えられる?まず知っておきたい基本的な考え方

老化と向き合うにあたってまず整理しておきたいのが老化、すなわち「加齢現象」とは何か、という点です。ひと口に老化と言っても、その中身は決して一様ではありません。

代表的な加齢現象のうち、大きく「個体老化」と「細胞老化」の二つがあります。まず「個体老化」とは、私たちが日常的に実感しやすい老化のことを指します。人の身体機能は、成長とともに一定の年齢までは向上し、やがてピークを迎えた後、ゆるやかに低下していきます。「体力が落ちたと感じる」「しわやシミが増えてきた」「疲れが抜けにくくなった」といった変化は、この個体老化によるものです。多くの人が「老化」と聞いて思い浮かべる現象は、主にこの個体老化にあたります。

一方で、「細胞老化」は、よりミクロなレベルで起こる変化です。私たちの身体を構成する細胞は、これまで分裂を繰り返しながら入れ替わってきましたが、ある段階で分裂を停止する細胞があらわれます。この分裂を止めた状態を「細胞老化」と呼びます。人の老化とは、こうした個体老化と細胞老化が複合的に進行した結果だと考えられています。

実は、人の老化のメカニズムは、いまだ完全には解明されていません。しかし近年の老年科学や老化研究では、この「細胞老化」に強い注目が集まっています。というのも、人の身体はおおよそ37兆個もの細胞から構成されており、それら一つひとつの細胞の状態が、身体全体の機能に大きく影響しているからです。細胞が老化すれば、身体全体も老化する──そう考えると、非常に納得感のある話ではないでしょうか。

この考え方から「細胞老化を抑制できれば、個体としての老化もゆるやかにできるのではないか」という仮説が生まれ、現在も世界中で研究が進められています。現時点では実験段階にとどまっていますが、これらの研究から一定の効果が示されはじめている分野もあり、将来的には老化の進行をよりゆるやかにできる可能性が期待されています。

もちろん、現代において人の老化そのものを完全に止めることはできません。しかし、老化の仕組みを正しく理解し、その進行をゆるやかにするための方法が少しずつ明らかになってきているのも、また事実です。老化を「避けられないもの」としてただ受け身で捉えるのではなく、「理解し、向き合い、対策する対象」として捉えること。それこそが、これからの健康を考えるうえでの第一歩になります。

老化の進み方は人によって違う

これまで見てきたように、老化の進み方には非常に大きな個人差があります。同じ年齢であっても、見た目や体力、健康状態に差を感じたことがある人は少なくないでしょう。老化にこれほどの個人差が生じる背景には、主に二つの要因が関わっています。それが「遺伝的要因」と「生活習慣の影響」です。

老化の根本にある「細胞老化」が遺伝子(DNA)の影響を受けて生じること、また高齢になっても運動習慣を維持している人が若々しく見えることなどを考えると、この二つの要因が老化に影響しているという考え方は、直感的にも理解しやすいのではないでしょうか。

ここからは、これらの二つの要因について、もう少し詳しく見ていきましょう。

遺伝的要因

「細胞」は、生物の身体を構成する最小単位であり、生命活動の基本となる存在です。人の身体は、たった一つの受精卵からはじまり、細胞分裂を繰り返すことで形づくられていきます。この細胞分裂の過程では、細胞内に含まれる遺伝子も複製されるため、基本的にはすべての細胞が受精卵と同じ遺伝情報を持っていると考えられています。

しかし、細胞分裂は無限に続けられるわけではありません。細胞には分裂できる回数に限界があり、一定の回数を超えると分裂を停止します。これが、先に触れた「細胞老化」であり、分裂を止めた細胞は「老化細胞」と呼ばれます。老化細胞は体内に徐々に蓄積していき、その数が増えることで、組織や臓器の機能低下を引き起こすと考えられています。これが、加齢とともに身体機能が衰えていく一因とされています。

細胞老化の仕組みについては、現在も研究途上ではありますが、重要な役割を担っているとされるのが「テロメア」と呼ばれる構造です。テロメアはDNAの末端に存在し、遺伝情報を保護する役割を果たしています。細胞分裂のたびにこのテロメアは少しずつ短くなり、限界まで短縮すると細胞は分裂を停止すると考えられています。

このテロメアの長さや性質は、遺伝的要因の影響を受けるとされています。つまり、生まれ持った遺伝情報によって、細胞がどの程度の速度で老化していくのかには、ある程度の違いが生じるということです。

老化の進み方が人によって異なるのは、決して気のせいではありません。遺伝という避けられない要素が関与しているからこそ、「老化には個人差がある」という事実を、まずは正しく理解し、自分に合う整え方を考えることが大切です。

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生活習慣の影響

老化の進み方を左右するのは、遺伝的要因だけではありません。日々の生活習慣も、老化に大きな影響を与える重要な要素です。

遺伝的要因は生まれ持ったものであり、後から変えることはできません。しかし、生活習慣は意識次第で見直すことができます。たとえ老化が比較的ゆるやかとされる体質であっても、不規則な生活が続けば老化の進行が早まる可能性が十分にあり得るのです。

私たちの身体は、脳や肝臓、腎臓といった臓器をはじめ、それらを支える骨格、骨格を動かす筋肉など、さまざまな要素によって成り立っています。日常生活のなかでこれらの器官に大きな負担を与えるのが生活習慣です。遺伝的要因が身体の内側に由来する「内的要因」だとすれば、生活習慣は外部から作用する「外的要因」と言えるでしょう。

過度な飲酒、不規則な睡眠、高カロリーで栄養バランスの偏った食生活などは、身体の健康を損なうことが知られています。そして、身体の健康状態が低下することは、老化の進行とも密接に関わっているのです。

これからの健康を守る老化との向き合い方

ここまで、老化の仕組みやその特徴について見てきました。近年、老年科学や老化研究は非常に注目度の高い分野となっており、研究の進展によって「将来的には老いを克服できるのではないか」という期待も高まっています。

ただし、それはあくまで将来の可能性の話であり、現時点での「老化の克服」は、若返りを意味するものではありません。科学の進歩に期待を寄せつつも、私たち一人ひとりが今すぐできることに目を向ける姿勢が大切です。

重要なのは、自分自身の老化から目を背けるのではなく、きちんと向き合いながら、現在の若さや健康をできるだけ長く維持するための取り組みを積み重ねていくことです。老化は誰にとっても避けられない変化ですが、その進み方や影響の受け方には個人差があります。

そこでここからは、自分の老化と向き合ううえで、ぜひ押さえておきたい視点について紹介していきます。これからの健康を守るためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。

向き合い方①身体と脳の老化を分けて考える

「一日歩き続けると膝が痛むようになった」「以前よりシミが目立つ気がする」こうした変化から、自身の「老い」を実感した経験がある方も多いのではないでしょうか。

私たちの生活、ひいては人生の基盤となるのは身体であるため、身体の老化は比較的自覚しやすいものです。しかし、老化するのは身体だけではありません。実は脳もまた、年齢とともに変化していくことが知られています。「以前より物覚えが悪くなった」「度忘れが増えた」と感じる場面が増えてきたとしたら、それは脳の老化を実感しているサインかもしれません。

脳は身体の一部である以上、身体の老化と脳の老化は密接に関係しています。とはいえ、脳は思考や感情、判断力といった「人間らしさ」を支える、極めて重要な器官です。そのため、身体の老化とは切り分けて捉える視点も欠かせません。

脳の変化は自覚しにくく、集中力の低下や気分の落ち込み、身体の不調といった、一見すると脳とは直接関係なさそうな形であらわれることもあります。そうしたとき、身体やメンタル面だけをケアしても、根本的な改善につながらない場合があるのも事実です。ですので、「もしかすると、脳のコンディションが影響しているのではないか」と立ち止まって考える視点を持つことが重要になります。

特に年齢を重ねるにつれ、脳梗塞や脳出血、認知症といった脳疾患のリスクは高まっていきます。身体の状態とは切り離して脳の変化に気づけるようになることで、こうした疾患の兆候を示すサインにも、より早く気づける可能性が高まるのです。

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向き合い方②身体に負担のかける生活習慣を減らす

老化対策、つまり長期的な健康づくりにおいて重要なのは、「身体に負担をかける生活習慣を減らし、身体にポジティブな影響を与える生活習慣を増やすこと」です。

ここで知っておきたいのは、身体に良い生活習慣と、身体に負担をかける生活習慣は表裏一体であるという点です。つまり、身体に負担をかけている習慣をやめたり、改善したりすることは、そのまま身体に良い習慣を増やすことにも直結します。

そう考えると、実際に取り組むべきことはとてもシンプルです。まずは「身体に負担をかけている生活習慣を減らすこと」からはじめればよいのです。

この機会に、一度自身の生活習慣を振り返ってみましょう。「十分に寝ているはずなのに疲れが取れない」「集中力が長く続かない」といった不調を感じている場合、どこかに身体へ負担をかけている習慣が潜んでいる可能性があります。

大切なのは、その原因を一つひとつ洗い出し、「どうすればやめられるか」「どこから改善できるか」を立ち止まって考えることです。老化対策や健康づくりは、何か特別なことをはじめる前に、まず今の自分にとって無理のある習慣を手放すことからはじまります。その小さな見直しの積み重ねが、将来の健康を大きく左右するのです。

無理なく続けられる生活習慣の整え方

ここからは、身体にポジティブな影響を与える具体的な生活習慣について見ていきましょう。こうした習慣を少しずつ増やしていくことは、結果的に身体に負担のかかる生活習慣を減らし、生活全体を整えることにつながります。

生活習慣を改善するうえで、まず押さえておきたい大切なポイントがあります。それは「無理をしないこと」「完璧を目指さないこと」です。

老化対策や健康づくりで本当に重要なのは、短期間で理想の生活を完成させることではありません。長い時間をかけて、無理なく継続できる形で続けていくことこそが、最大の効果を生みます。

最初からすべてを整えようとすると、負担が大きくなり、途中で挫折してしまいがちです。だからこそ、「これならできそう」「少し気になる」と感じるものからひとつずつ取り入れてみましょう。ハードルはできるだけ低く設定することが大切です。 小さな一歩でも、積み重ねていくことで生活習慣は確実に変わっていきます。継続を最優先に、自分のペースで取り組むことが、着実に老化対策につながっていきます。

食生活の改善

健康づくりを考えるうえで、食生活の改善は欠かせない取り組みのひとつです。今の食生活にある課題を一つずつ改善していくこと。その積み重ねが、無理のない食生活の改善になります。

なかでも、日本人に多く見られる課題が「塩分の摂りすぎ」です。塩分を過剰に摂取すると、高血圧や動脈硬化のリスクが高まることが知られており、長期的には心疾患や認知症の発症リスクとも関連することが分かっています。それでもなお、塩分過多がなかなか改善されにくいのが現状です。

その背景には、味噌や醤油、漬物といった、塩分を多く含む食品が日常的に使われていることや、比較的塩味の強い味付けを好む日本の食文化があります。そのため、自分では特別に濃い味付けをしているつもりがなくても、普段の食事を続けているだけでWHOが推奨する一日5g未満の塩分摂取量を簡単に超えてしまうケースも少なくありません。

だからこそ、食生活を改善する第一歩として大切なのは、「自分が今、どれくらいの塩分を摂っているのか」を意識することです。まずは現状を知ることで、改善すべきポイントが見えてきます。

あわせて、日々の食事で栄養素に過不足がないかを確認することも重要です。近年では、食事内容や栄養バランスを手軽に記録・確認できるアプリも増えており、食生活を振り返りやすい環境が整っています。気軽に記録してみるだけでも、自分の食習慣の傾向に気づくきっかけになるでしょう。

必要な栄養素を過不足なく摂ることを意識していくと、自然に食事全体のバランスも整っていきます。無理に大きく変えようとせず、まずは今の食生活を振り返ることからはじめてみましょう。

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運動習慣で心身の若返り

運動が心身の健康に良いことは、多くの方がご存じのことでしょう。筋力や心肺機能の維持・向上に役立つだけでなく、身体を動かすことで気分がリフレッシュされ、睡眠の質が高まるなど、日常生活全体に良い影響をもたらします。さらに、運動によって全身の血流が促されると、脳にも十分な血液が行き渡り、脳機能の維持にもつながることが知られています。

こうした効果に加え、近年では運動がアンチエイジング、つまり老化の進行をゆるやかにする働きを持つ点にも注目が集まっています。そもそも、無理なく身体を動かせる状態そのものが、心身のコンディションが良好である証とも言えます。「運動をするから若々しい」のではなく、「若々しい状態だからこそ運動ができる」という側面もあるのです。

だからこそ、老化対策として運動習慣を取り入れる際に大切なのは、無理をしないこと、そして楽しみながら続けることです。つらさを我慢しておこなう運動は長続きしませんが、楽しさを感じられる運動であれば、自然と習慣化しやすく、気持ちの面でも若々しさを保ちやすくなります。

運動の種類に決まりはありません。散歩や軽いウォーキング、自転車でのサイクリングといった身近なものから、以前から興味のあったヨガやダンスに挑戦してみるのも良いでしょう。大切なのは、「鍛えるため」ではなく、「楽しむための運動」を選ぶことです。

日常生活に無理なく運動を取り入れ、身体を動かす習慣を通じて、心身の若々しさを育てていきましょう。

ストレスは老化を加速させる

「ストレスは健康に悪い」──この認識は感覚的なものではなく、現在ではさまざまな研究で関連が示唆されています。特に、慢性的で抱えきれないほどのストレスは、細胞老化を促進する可能性が指摘されており、老化の進行を早めるリスクがあることが分かってきました。

また、ストレスの影響は身体の内側だけにとどまりません。常に疲れていたり、イライラした状態が続いていたりすると、心の余裕が失われ、若々しさや魅力も感じにくくなります。ストレスを放置することは、健康面だけでなく、自分自身の魅力やコンディションを損ねてしまうことにもつながるのです。

とはいえ、ストレスは外部からの刺激(ストレッサー)に対する防衛反応でもあります。社会で生活する以上、ストレスそのものを完全になくすことは現実的ではありません。そこで重要になるのが、「ストレスを溜め込まないこと」、そして「溜まる前にこまめに解消すること」です。

たとえば「仕事の合間に1~2分ほど目を閉じて深呼吸する」「自然の多い場所で意識的に休憩を取る」といった方法でも、ストレスは十分に和らぎます。特別な準備や時間を必要としない、日常生活に無理なく取り入れられる対処法をいくつも持っておき、ストレスが自分一人では処理しきれないほど大きくなる前に、こまめにケアする習慣を身につけることがポイントです。

『認知症と向き合う365』の導入

脳は、記憶力や計算力、言語力といった認知機能だけでなく、喜びや怒り、悲しみといった感情(情動)、さらには意欲や欲求など、私たちの「人間らしさ」の根幹を支える非常に重要な器官です。目で見ることも手で触れることもできませんが、脳もまた確実に老化します。そして、その変化を放置すれば、老いは知らぬ間に、しかし着実に進んでいきます。

自分らしさを形づくっている多くの要素は脳の働きによって支えられているため、脳が老いるということは、私たちが当たり前だと思っている「自分らしさ」が徐々に鈍っていくことでもあります。だからこそ、脳についても意識的に若さを保つ視点が欠かせません。脳の変化や老化に早く気づき、適切に対処することで、認知症の予防にもつながります。

加えて、認知症は、要介護状態となる主要な要因のひとつであり、認知症への対策はそのまま要介護予防に直結します。要介護を防ぐことは、自分らしい生活を長く続けるために欠かせない取り組みでもあるのです。

そこでおすすめしたいのが、『認知症と向き合う365』です。本サービスでは、認知機能セルフチェックに加え、MRIによる脳画像撮影と、それらをAIが詳細に解析する「BrainSuite®」を組み合わせることで、脳を「機能」と「構造」の両面から確認することができます。

こうした仕組みを活用することで、脳の変化に早い段階で気づきやすくなり、より深刻な状態へ進行する前に適切な対応につながる可能性が高まります。その結果、要介護リスクの抑制にも期待できます。

人生100年時代と言われるほど、私たちは長く生きるようになりました。身体が衰えるのと同じように、脳もまた変化していきます。だからこそ、長期的な将来への備えとして、『認知症と向き合う365』を検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

今回は、人の老化についてできるだけわかりやすく整理しながら、老化との向き合い方や、日々の生活の中で取り入れてほしい考え方、取り組みについて紹介しました。

人は生まれ、年を重ね、やがて死を迎えます。これは、今後どれほど老年医学や老化研究が進歩したとしても、大きく変わることはないでしょう。しかし、年を重ねること自体は決して悪いことではありません。誰もがそれぞれの時間を生きてきて、その積み重ねがあるからこそ、体や心に変化や不具合が生じるのはごく自然なことです。長く使ってきた道具に少しずつ調整が必要になるのと同じように、年齢を重ねた体にも手入れが求められるだけなのです。

だからこそ、老いを必要以上にネガティブに捉える必要はありません。生活習慣を見直したり、老化との向き合い方を少し変えたりすることで、日常の過ごし方や感じ方が大きく変わることもあります。老化は「衰え」だけでなく、自分の体や生き方を見つめ直すきっかけにもなり得るのです。

老いを受け入れ、時には楽しみながら、できるだけ自分らしさを長く保っていく。肩の力を抜きつつ、無理のないペースで取り組んでいきましょう。


【参考文献(書籍)】

  • 石井直明(2021). アンチエイジングの教科書. 東海教育研究所.
  • 伊藤裕(2025). 老化負債. 幻冬舎.
  • 上村理絵(2024). こうして、人は老いていく. アスコム.
  • 櫻井武(2017). 睡眠の科学・改訂新版. 講談社.
  • 杉晴夫(2008). ストレスとはなんだろう. 講談社.
  • 高島明彦/村上もとか(2022). JIN-仁-と学ぶ認知症「超」早期発見と予防法. 集英社クリエイティブ.
  • 中西真/新井康通(2024). 今と未来がわかる 老化の科学. ナツメ社. 樋口満(2025). 健康寿命と身体の科学. 講談社.

この記事の監修者

佐藤俊彦 医師

佐藤俊彦 医師

福島県立医科大学卒業。日本医科大学付属第一病院、獨協医科大学病院、鷲谷病院での勤務を経て、1997年に「宇都宮セントラルクリニック」を開院。
最新の医療機器やAIをいち早く取り入れ、「画像診断」によるがんの超早期発見に注力、2003年には、栃木県内初のPET装置を導入し、県内初の会員制のメディカル倶楽部を創設。
新たに 2023年春には東京世田谷でも同様の画像診断センター「セントラルクリニック世田谷」を開院。
著書に『ステージ4でもあきらめない 代謝と栄養でがんに挑む』(幻冬舎)『一生病気にならない 免疫力のスイッチ』(PHP研究所)など多数。