脳の変化は40代からはじまる?今から始めるアルツハイマー病対策
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現代日本において、人は非常に長寿となりました。70〜80年生きることはもはや珍しいことではなく、今後は「人生100年時代」が当たり前になるともいわれています。豊かな食環境や充実した医療制度、清潔で衛生的な住環境が整ったことで、私たちはかつてよりもはるかに長く健康的に生きられるようになりました。
しかし、どれほど条件が整っていたとしても、「老い」そのものを完全に避けることはできません。実際、40代を迎える頃から、体力の低下や疲れやすさなど、さまざまな変化を実感する人も多いのではないでしょうか。こうした加齢による変化は、身体だけでなく心や脳にも及ぶとされています。その結果、更年期障害や生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、脳の働きにも少しずつ影響を与え始めると考えられています。
そこで今回は、40代から目立ち始める脳の変化について解説するとともに、脳の健康を保ち、将来のアルツハイマー病予防につながる効果的な取り組みについて紹介していきます。
脳の変化は40代から目立ち始める
「肌のシミやしわが気になるようになった」「20代や30代の頃のように体力が続かない」「中年太りが気になる」──40代を迎え、自身の老いを実感するようになったという方も多いのではないでしょうか。
そもそも、人の身体機能や生理機能は20歳前後でピークを迎え、その後はゆるやかに低下していきます。これが一般にいわれる「老い」です。20~30代のうちは変化が緩やかなため気づきにくいものの、40代になるとその低下は次第に顕著になり、変化として実感されやすくなります。
また、40代はこれまでの生活習慣の積み重ねが表面化する年代でもあります。若い頃から続いてきた不健康な食生活、慢性的な睡眠不足、運動不足などの影響が、この時期になってあらわれ始めるのです。その結果、筋肉量や基礎代謝の低下、更年期障害など、さまざまな不調を感じやすくなります。
こうした老化は、身体だけでなく「脳」においても同様に起こります。脳の老化は重量の減少という「萎縮」の形であらわれ、脳の重量は20歳前後をピークに、その後は年齢とともに減少していきます。加齢に伴う脳の老化は誰にでも起こる自然な変化ですが、その進行スピードには大きな個人差があります。
特に、長期的な喫煙や過度なアルコール摂取、慢性的なストレスは、脳の萎縮を加速させる要因として知られています。こうした影響が表れやすくなるのが、まさに40代という時期なのです。
ただし、ここで注意したいのは、脳の老化とはいわゆる脳の構造的な変化を指すものであり、脳の「機能」の衰えと必ずしも一致するわけではないという点です。実際、脳の萎縮が認められていても、明瞭な認知機能を保っている高齢者は多く存在します。つまり、脳が萎縮することが直ちに認知機能の低下につながるとは限りません。
しかし一方で、脳の萎縮を加速させる生活習慣は、脳機能にも悪影響を及ぼすことが分かっており、その影響は40代頃から目立ちやすくなります。さらに、アルツハイマー病は症状が目立ち始める20年ほど前から脳内で病変が始まっているとされ、仮に有病率が増加し始める60代で発症する場合、40代の時点ですでに変化が始まっている可能性があるのです。

画像素材:PIXTAアルツハイマー病とは
アルツハイマー病は、脳の萎縮を引き起こす神経変性疾患で、認知症の原因となる病気の一つです。日本においては、アルツハイマー型認知症が認知症全体の約6割を占めるとされており、最も多いタイプとして知られています。
この病気が初めて報告されたのは、今から約100年前のことです。ドイツの精神医学者であるアロイス・アルツハイマー博士が、記憶障害や妄想などの認知機能障害を示した一人の患者を詳細に観察・報告したことが始まりでした。注目すべき点は、その症例が当時40代の女性であったということです。彼女は症状の進行とともに40代のうちに亡くなり、死後の解剖によって、同年代と比べても著しく脳が萎縮していることが確認されました。さらに、現在ではアルツハイマー病の特徴とされている「老人斑」や「神経原線維変化」も見つかっています。
アルツハイマー病の発症メカニズムについては、現在も世界中で研究が続けられており、現時点でも完全な原因解明には至っていません。その中でも最も広く知られ、長年にわたり研究の中心となってきた考え方が「アミロイドβ仮説」です。しかし、近年の研究からアミロイドβだけで病気のすべてを説明できるわけではなく、複数の要素が重なって発症・進行すると考えられており、注意が必要です。
とはいえ、現在もっとも広く知られているのが「アミロイドβ仮説」です。ここからは、このアミロイドβ仮説をもとに、アルツハイマー病がどのように発症し、進行していくのかについて、わかりやすく解説していきます。
脳内で起こる変化
アルツハイマー病の発症メカニズムとして広く知られているアミロイドβ仮説では、病気の主な原因は「アミロイドβ」と呼ばれる異常なたんぱく質にあると考えられています。アミロイドβは脳内に蓄積し、神経細胞の周囲に「老人斑」と呼ばれるシミのような塊を形成します。この老人斑が増えることで、周囲の神経細胞が障害され、正常な情報伝達が妨げられていきます。
さらに、老人斑の形成は、残された神経細胞にも連鎖的な異変を引き起こします。本来、神経細胞の形状や機能を安定させる役割を担っている「タウたんぱく質」が異常を起こし、繊維状に絡み合って蓄積するようになります。これが「神経原線維変化」と呼ばれる状態で、神経細胞の機能低下や死滅を招く原因となります。また、こうしたたんぱく質の異常に加えて、脳の炎症反応や血流の低下、生活習慣病に伴う代謝の乱れなどが重なると、神経細胞がダメージを受けやすくなり、症状がより進みやすくなる可能性が指摘されています。
これらの変化が重なることで、記憶を司る海馬を中心に脳の萎縮が進行していきます。その結果、もの忘れが増えるといった記憶力の低下だけでなく、言葉が出にくくなるなど、さまざまな認知機能の低下があらわれるようになります。
脳の萎縮がさらに進行すると、認知機能の問題にとどまらず、家事や外出、買い物といった日常生活にも支障をきたすようになります。症状が進んだ場合には、入浴や排せつなどの基本的な生活動作にも介護が必要になることがあり、本人だけでなく周囲の人々の生活にも大きな影響を及ぼすことになります。

画像素材:PIXTA発症までの長い前段階
アルツハイマー病は、ある日突然発症する病気ではありません。実は、症状があらわれるはるか以前から、脳内では長い時間をかけて変化が進んでいることが分かっています。
アミロイドβやタウたんぱく質の蓄積は、発症の約20年前から始まっていると考えられています。こうした異常なたんぱく質が少しずつ脳内にたまり、時間をかけて病変が進行することで、やがて記憶力や判断力といった認知機能の低下が表面化してくるのです。
本来、アミロイドβやタウたんぱく質は、主に睡眠中に脳から排出される仕組みが備わっています。そのため、アルツハイマー病発見のきっかけとなった女性のように40代という若い時期に、これらが発症につながるほど蓄積することは比較的まれです。
しかし、慢性的な睡眠不足や高血圧といった脳に負担のかかる生活習慣、さらには加齢による排出機能の低下が重なることで、本来排出されるはずのたんぱく質が少しずつ脳内に蓄積するようになります。その結果、老人斑や神経原線維変化が形成され、長い年月を経てアルツハイマー病として表面化していくのです。
40代からはじめる対策の重要性
アルツハイマー病の大きなリスク要因の一つに「加齢」があります。これは単に年齢を重ねることそのものが原因というよりも、加齢に伴う脳の老化や、これまでの生活習慣によって蓄積してきた脳へのダメージが、発症リスクを高めていくためです。前述したように、異常なたんぱく質の排出機能の低下や、不健康な生活習慣の積み重ねは、脳の萎縮を加速させる要因となります。
現時点では、アルツハイマー病によって生じた脳の病変を、完全に元の状態に戻す治療法は確立されていません。だからこそ、アルツハイマー病において最も重要なのは、「発症してから対処すること」ではなく、「発症リスクをできるだけ下げること」、すなわち予防です。
改めて強調したいのは、アルツハイマー病の要因となるアミロイドβやタウたんぱく質は、発症の約20年前から脳内に蓄積し始めるとされています。そのため、症状があらわれてから生活を見直すのではなく、できるだけ早い段階から発症リスクを高める習慣を減らし、健康に効果的な生活を意識することが重要になります。
早くから脳にやさしい生活習慣を身につけることは、アルツハイマー病の発症リスクを抑えるだけでなく、将来の認知症予防にもつながります。なかでも40代は、その後の脳の健康状態を大きく左右する重要な分岐点だと言えるでしょう。

画像素材:PIXTA40代で意識しておきたいアルツハイマー病のリスク
ここからは、40代で意識しておきたいアルツハイマー病のリスクについて見ていきましょう。アルツハイマー病のリスク要因には、特別なものはほとんどありません。実は、日常生活の中にある「不健康な生活習慣」そのものが、発症リスクにつながると考えられています。
アルツハイマー病は65歳頃から有病率が高まり、80歳を超えると半数に近づくなど、決して他人事ではない身近な病気です。特別な病歴や遺伝的要因がなくても、長年にわたる生活習慣の積み重ねによって、誰にでも発症の可能性があります。
だからこそ大切なのは、「自分は関係ない」と考えるのではなく、今の生活が将来どの程度の認知症リスクを抱えているのかを知ることです。次に、40代が特に注意したい代表的なリスク要因について、具体的に見ていきましょう。
運動不足・生活習慣病との関係
アルツハイマー病の発症リスクを大きく高める要因の一つが、「生活習慣病」です。糖尿病、脂質異常症、高血圧、肥満、メタボリックシンドロームといった状態は、いずれも脳に大きな負担をかけ、アルツハイマー病のリスクを高めることが知られています。
なかでも注意したいのがメタボリックシンドロームです。メタボリックシンドロームは、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の引き金となりやすく、これらを放置すると、脳卒中や腎臓病、心不全といった重篤な疾患に加え、アルツハイマー病を含む認知症のリスクも高まります。この一連の悪循環は「メタボリックドミノ」と呼ばれ、最初の段階を放置することで、生活に大きな影響を及ぼす病気へと連鎖的につながっていくことが問題視されています。
こうしたメタボリックシンドロームや生活習慣病の背景には、運動不足が深く関わっています。運動不足の状態を続けていると、自覚している以上に身体や脳への負担が蓄積し、将来的な健康リスクを大きく高めるおそれがあります。
さらに、若い頃からの運動不足を40代以降になっても改善しない場合、体力や気力の低下が、運動習慣のある人に比べて早くあらわれやすいことが分かっています。運動不足を放置することは、身体だけでなく脳の健康にとっても、決して無視できないリスクになります。
ストレス・睡眠不足が脳に与える影響
睡眠不足は、アルツハイマー病の発症リスクを高める要因の一つとして知られています。その理由は、アルツハイマー病の原因とされる異常たんぱく質の多くが、睡眠中に脳から排出されると考えられているためです。これらの多くは睡眠中に除去されるとされており、睡眠が不足すると排出が不十分となり、結果として脳内に蓄積しやすくなります。こうした状態が長く続くことは、アルツハイマー病のリスクを高める大きな要因になるのです。
さらに、睡眠不足がもたらす悪影響は脳だけにとどまりません。高血圧や肥満などの生活習慣病のリスクを高めるほか、記憶力や判断力、集中力の低下、感情のコントロールが難しくなるといった認知機能や精神面への影響も指摘されています。
長期的な睡眠不足は自律神経のバランスを崩す原因にもなり、動悸や頭痛、慢性的な倦怠感、下痢などの身体症状に加え、気分の落ち込みや抑うつ傾向といった精神的な不調を引き起こすことも少なくありません。
また、慢性的なストレスも脳の健康に深刻な影響を及ぼします。解消されないストレスは脳の萎縮を加速させることが報告されており、アルツハイマー病のリスクを高める要因になり得ます。特に、長期間にわたる強いストレスは、うつ病などの精神疾患の引き金となることもあり、その影響は想像以上に大きなものとなります。

画像素材:PIXTA過度な飲酒や喫煙習慣
「酒は百薬の長」という言葉がありますが、近年の研究から、たとえ少量の飲酒でも健康リスクが高まる可能性が示されています。飲酒によるメリットは、リラックスやストレス解消といった精神面での効果に限られ、身体そのものにとっては、基本的に負担となる行為だと考えられています。
一般的に、健康を大きく損ねにくいとされる飲酒量の目安は、男性で1日1合程度、体格が小さくアルコール分解能力が低い傾向にある女性では、その半分程度とされています。もし現在、1日1合を超える飲酒が習慣化している場合、アルツハイマー病の発症リスクを高める要因の一つになり得ます。
また、喫煙についても、その有害性は広く知られており、健康の観点から見て明確なメリットはありません。喫煙は血管や脳に慢性的なダメージを与え、さまざまな疾患のリスクを高めることが指摘されています。 飲酒や喫煙はいずれも、高血圧をはじめとする生活習慣病の発症リスクを高めるだけでなく、心不全やがんといった重篤な疾患の原因にもなります。
40代から始めるアルツハイマー病対策
前述のとおり、アルツハイマー病の要因となるアミロイドβやタウたんぱく質は、発症のおよそ20年前から脳内に蓄積し始めるとされています。そのため、できるだけ早い段階から発症リスクを高める生活習慣を見直し、心身と脳にとって健康的な生活を心がけることが、アルツハイマー病のリスク抑制、ひいては認知症予防にもつながります。
認知症予防を始めるのに「早すぎる」ということはなく、なかでも40代から意識して健康的な生活習慣を整えることは、非常に理にかなっていると言えるでしょう。その理由として、40代は生活習慣を比較的スムーズに定着させやすい時期であることです。さらに、気力や体力がまだ十分に保たれている人も多く、予防のための取り組みを無理なく継続しやすいという利点があります。
また、認知症リスクを抑える取り組みは、特別なことではなく、健康づくりそのものと重なります。40代からこうした習慣を身につけることで、将来の病気のリスクを下げるだけでなく、この先の人生をより健康でいきいきと過ごせる可能性が大きく広がります。
ぜひこの機会に、自身の生活習慣を見直してみてください。不健康な習慣を少しずつ減らし、脳と身体の健康を守る行動を一つずつ増やしていくことが、将来への大きな備えとなるはずです。
運動習慣をつける
運動がもたらすポジティブな効果は、数え切れないほどあります。体力や筋力の向上、心肺機能の強化に加え、運動によるリラックス効果や、筋肉量の増加に伴う基礎代謝の向上、睡眠の質の改善など、心身の両面に多くのメリットがあります。こうした変化は集中力の向上やメンタルの安定にもつながり、日常生活の質を高めてくれます。
認知症予防に効果的とされる運動の目安は、「中程度以上の運動を1回30分程度、週2〜3回」とされています。ただし、40代からの認知症予防で特に重要なのは、短期間で結果を求めることではなく、運動を長期的に継続できる身体づくりです。その土台となるのが基礎体力です。
基礎体力は、意識して取り組まなければ年齢とともに低下していきます。どのような運動であっても、継続するためには一定の体力が欠かせません。だからこそ、まずは無理のない形で運動を日常生活に取り入れ、「続けること」を最優先に考えることが大切です。
運動の種類に決まりはありません。これまで経験のあるスポーツはもちろん、ヨガやダンス、水泳、サイクリングなど、興味を持てるものを選ぶと継続しやすくなります。一方で、これまで運動習慣がなかった人が急に激しい運動を始めると、ケガの原因になることもあります。まずはラジオ体操や散歩など、身体への負担が少ない運動から始めるのがおすすめです。
これらの運動は全身の筋肉をバランスよく使いながら、心地よく体を動かすことができます。まずは週2回以上を目標に、無理のないペースで運動を習慣化していきましょう。

画像素材:PIXTA脳に優しい食生活
脳を含め、私たちの身体を形づくっている土台となるのが「食事」です。認知症予防においても食生活は非常に重要な要素であり、日々の食事を整えることは、アルツハイマー病の予防だけでなく、長期的な健康を支える基盤となります。
健康的な食生活で最も大切なのは、特定の食材に偏らず、食事全体のバランスを保つことです。どれほど健康によいとされる食材であっても、摂りすぎれば身体に負担となり、場合によっては有害になることもあります。
そのため、食生活を見直す際には、厚生労働省が示している「食事バランスガイド」などの公的な指標を参考にしながら、自分に必要なエネルギー量や栄養素を確認することが大切です。日々の食事に過不足がないかを客観的に見直し、無理のない改善につなげていきましょう。
最近では、食事管理アプリなど、手軽に食生活を振り返ることができるツールも多くあります。こうしたツールを活用することで、自身の食習慣を把握しやすくなり、改善のきっかけにもなります。
基本的な食事バランスを整えたうえで、DHAやEPAを多く含む青魚、ポリフェノールを豊富に含む野菜や果物などを意識して取り入れることで、脳にとってより良い影響が期待できます。日々の積み重ねが、将来の脳の健康を支える大きな力になります。
質の高い睡眠
これまで見てきたとおり、睡眠は脳の老廃物を排出する機能を維持するうえで欠かせない要素です。睡眠時間を含めた「睡眠の質」を確保することは、認知症の予防に役立つだけでなく、心身の健康全体に多くのメリットをもたらします。
睡眠中、脳は老廃物の排出や記憶の整理といった重要な働きを担っています。日中に取り込んだ膨大な情報は、睡眠中に整理・統合されることで記憶として定着し、脳内の「空き容量」が確保されます。また、覚醒中に生じた老廃物を睡眠中にしっかり排出することで、脳の高度な機能を数十年という長期にわたって維持することが可能になります。
しかし、日本人は世界的に見ても睡眠時間が短い傾向にあることが指摘されています。特に仕事や家庭で多忙な40代は、睡眠時間が削られやすい年代です。2020年のNHKの調査によると、40代の男女ともに平均睡眠時間は7時間を下回っており、将来の健康を考えると見過ごせない状況です。
睡眠不足は、アルツハイマー病の原因とされる異常なたんぱく質の蓄積を促すだけでなく、代謝の低下やメンタル不調など、さまざまな健康問題の引き金となります。体力が徐々に低下していく40代以降に睡眠を削ることは、今後の健康寿命に大きな影響を及ぼしかねません。
将来の健康を守るためにも、まずは十分な睡眠時間を確保することを意識しましょう。一般的には、適切な睡眠時間の目安は7時間以上とされていますが、これまで慢性的な睡眠不足が続き、「睡眠負債」がたまっている場合には、7時間では回復を実感しにくいこともあります。
必要な睡眠時間には個人差があります。日中に強い眠気を感じず、集中力を保てているかどうかを一つの目安に、自分にとって適切な睡眠時間を見極めながら、毎日安定した睡眠を取ることを心がけましょう。

画像素材:PIXTA節酒・禁煙の習慣化
たとえ1日1合を超える飲酒や喫煙が、これまで長年にわたって習慣化していたとしても、今から見直すことで、アルツハイマー病を含む認知症の発症リスクや健康への悪影響を抑えることが期待できます。最も避けたいのは、「今さら変えても意味がない」と考え、そのまま習慣を放置してしまうことです。
過度な飲酒や喫煙を続けることが、身体だけでなく脳の健康にも明確に悪影響を及ぼすことは、さまざまな研究によって示されています。だからこそ、少しずつでも行動を変えることが重要です。
とはいえ、急に完全にやめるのは簡単ではありません。飲酒については、まず「節酒」を意識し、飲まない日を増やすことから始めてみましょう。喫煙についても、いきなりの禁煙が難しい場合は、本数を減らしたり、禁煙補助薬やタブレットなどを活用したりしながら、段階的に禁煙を目指すのがおすすめです。
大切なのは、無理をせず時間をかけて習慣を変えていくことです。最終的には、「飲まない」「吸わない」状態が自然な日常になることを目標に、できることから取り組んでいきましょう。
『認知症と向き合う365』の活用
アルツハイマー病の対策において最も重要なのは、まず「発症リスクをできるだけ下げること」です。その土台となるのが、運動不足や睡眠不足、過度な飲酒・喫煙など、脳や身体に悪影響を及ぼす生活習慣を減らしていく取り組みです。
しかし、どれほど生活習慣に気を配っていても、アルツハイマー病の発症を完全に防ぐことが難しいのも現実です。誰にでも発症する可能性があるからこそ、次に重要になるのが「早期発見・早期対策」という視点です。
アルツハイマー病は、発症前や初期の段階であれば、生活習慣の改善や投薬、リハビリテーションなどによって、症状の進行を抑えたり、状態の改善が期待できるケースもあります。そのため、万が一に備えて、早い段階から変化に気づける環境を整えておくことが、将来の安心につながります。
そこでおすすめしたいのが、『認知症と向き合う365』です。このサービスでは、定期的に認知機能のセルフチェックをおこなうことができ、小さな変化にも気づきやすくなります。さらに、AIがMRI画像を詳細に解析する「BrainSuite®」がセットになっており、脳を「機能」と「構造」の両面から継続的に確認できる点が特長です。
定期的なチェックを続けることで、わずかな変化を見逃しにくくなり、早期発見・早期対応を支える仕組みが整います。また、医師や心理士といった専門スタッフへの相談も可能なため、アルツハイマー病や認知症に関する不安や疑問を抱えた際にも、心強いサポートを受けることができます。
「何も起きていない今」から備えておくことが、将来の選択肢を広げ、より良い人生を守る一歩になります。

画像素材:PIXTAまとめ
今回は、40代から目立ち始める脳の変化について解説し、将来のアルツハイマー病対策の具体的な取り組みについて紹介しました。
40代は、これまでの生活習慣の積み重ねが少しずつ表面化し始める一方で、今後の選択次第で将来の健康が大きく左右される、人生の重要な転換点ともいえる年代です。今の行動が、将来の「財産」にも「負債」にもなり得る時期だからこそ、自分自身の健康と向き合う意味は非常に大きくなります。
これまであまり健康を意識してこなかった方にとっては、今が生活習慣を見直す良い機会です。また、すでに健康に自信がある方にとっても、その状態をできるだけ長く維持するために何が必要かを考えることは、将来への大切な投資になります。
「もう40代か」と感じる方もいるかもしれませんが、人生100年時代といわれる今、これからの人生はまだ長く続きます。一方で、若さに任せた無理が通用しにくくなる年代でもあります。だからこそ、できるだけ早い段階から、将来の自分が後悔しないための取り組みを始めることが、生き生きとした未来につながります。
まずはできることから一つずつ、着実に積み重ねていきましょう。
- 画像素材:PIXTA
【参考文献(ウェブサイト)】
- NHK放送文化研究所(n.d.). 国民生活時間調査「あなたの睡眠時間は平均より長い?短い?」. [オンライン]. 2026年1月7日アクセス,
https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-jikan/column/sleep-2020.html - 国立長寿医療研究センター(2024). あたまとからだを元気にするMCIハンドブック. [オンライン]. 2026年1月7日アクセス,
https://www.mhlw.go.jp/content/001272358.pdf - 農林水産省(n.d.). 栄養バランスに配慮した食生活にはどんないいことがあるの?. [オンライン]. 2026年1月7日アクセス,
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/evidence/pdf/p9-13.pdf - 農林水産省(n.d.). 「食事バランスガイド」について. [オンライン]. 2026年1月7日アクセス,
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/
【参考文献(書籍)】
- 秋下雅弘(2023). 目で見てわかる認知症の予防. 成美堂出版.
- 伊藤裕(2025). 老化負債. 幻冬舎.
- 浦上克哉(2021). 科学的に正しい認知症予防講義. 翔泳社.
- 加藤俊則(2021). ビジュアル図解 脳のしくみがわかる本. メイツ出版.
- 北原逸美/ながさき一生(2025). 認知症の教科書 増補改訂版. ニュートン.
- 櫻井武(2017). 睡眠の科学・改訂新版. 講談社.
- 樋口満(2025). 健康寿命と身体の科学. 講談社.
この記事の監修者
佐藤俊彦 医師
福島県立医科大学卒業。日本医科大学付属第一病院、獨協医科大学病院、鷲谷病院での勤務を経て、1997年に「宇都宮セントラルクリニック」を開院。
最新の医療機器やAIをいち早く取り入れ、「画像診断」によるがんの超早期発見に注力、2003年には、栃木県内初のPET装置を導入し、県内初の会員制のメディカル倶楽部を創設。
新たに 2023年春には東京世田谷でも同様の画像診断センター「セントラルクリニック世田谷」を開院。
著書に『ステージ4でもあきらめない 代謝と栄養でがんに挑む』(幻冬舎)『一生病気にならない 免疫力のスイッチ』(PHP研究所)など多数。
